介護保険の落とし穴?知らずに損する条件とは【現場の実話】

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「要介護認定さえ取れれば、もう安心」——そう思っていたご家族が、次にぶつかるのは“制度の壁”かもしれません。
介護サービスを使いたいのに、「本当に使えるの?」「条件を満たしてるの?」と、足踏みしてしまう。そんな不安を、回復期病棟でたびたび目の当たりにしてきました。

この記事では、介護保険制度の基本やよくある誤解、制度を活用するために必要な行動について、現場の経験とともにお伝えします。
「何がわからないか、わからない」状態から、一歩前に進むきっかけになることを願っています。


介護保険制度とは?

制度の目的とサポート内容

介護保険制度は、高齢者ができる限り自宅で暮らし続けられるように支援するしくみです。
病院に長く入院するのではなく、自宅や施設で“その人らしい生活”を送れるように、訪問介護や通所リハビリ、施設入所などのサービスが用意されています。

ただし、利用するには「要介護」または「要支援」の認定が必要です。
そのうえで、介護度に応じたサービスが選べるようになっています。

対象になる人と条件

対象は以下の2つに分かれます。

  • 65歳以上:加齢による心身の衰えで介護が必要になった場合
  • 40〜64歳:特定の病気(例:脳梗塞、認知症)によって介護が必要な場合

「年齢的に該当するし、少し物忘れもあるから…」という理由だけでは認定されないことも。
「どんなサポートが、どれくらい必要か?」が、判断の基準になります。

申請から認定までの流れ

申請は市町村の窓口で行います。
その後、訪問調査や主治医の意見書をもとに、介護認定審査会が判定します。

ポイントは、日常生活で困っていることを、具体的に伝えることです。
「最近ちょっと忘れっぽい」ではなく、「先週、ガスの火をつけたまま忘れた」といった具体例が伝わりやすいです。


よくある誤解と見落とし

認定されたのに、使えない?

「要介護1を取ったのに、思っていたサービスが使えない…」
これは、介護度によって使えるサービスが異なるためです。

たとえば、要支援1では入浴介助が使えない、要介護2以上でないと訪問看護が使えない──など、サービスと介護度の“対応表”を知らないまま手続きを進めると、思わぬ落とし穴になります。

所得によって自己負担が変わる?

介護保険の利用者負担は、原則1割ですが、所得によって2割・3割になることがあります。

たとえば、同居する家族が現役で働いていると、世帯全体の収入として判断され、高い負担割合になることも。

「これなら民間サービスの方が安いかも…」と感じる方もいますが、制度を上手に組み合わせることで負担を軽減できる場合もあります。

認定=自動スタート、ではない

「要介護認定が出たら、誰かが来てくれると思ってたのに…」

実際には、認定されたら次は「ケアマネジャーとの契約」や「ケアプラン作成」など、利用までにいくつかのステップがあります。

この流れを知らずに放置してしまうと、認定を受けてもサービスが使えない状態が続くこともあるので要注意です。


看護師として伝えたいこと

サービスは“受け身”では始まりません

「申請が終わったら自動的に支援が始まる」わけではありません。
ケアマネジャーに相談し、ケアプランを作って、サービスを選ぶことが必要です。

介護保険制度は、あくまで「使う人が動いて初めて活きる制度」。
誰かが整えてくれるのを待つより、早めの相談が安心への第一歩です。

ケアマネジャーの存在を知っていますか?

制度の仕組み、手続きの流れ、どんなサービスが合っているか——
これらを一緒に考えてくれるのが、ケアマネジャーです。

「もう少し早く相談していれば…」というご家族の声を、私は何度も聞いてきました。
限界を感じる前に、ぜひ一度つながってみてください。

“先送り”が、身体と心の負担になる

高齢者は、ほんの少しのことでも体調や機能が大きく変化します。
「もう少ししてから…」と様子を見ていたら、歩けていたはずの方が転倒し、寝たきりになってしまった例もあります。

迷ったら、“少しだけ”始めてみるのも選択肢です。


不安なとき、どう動けばいい?

わからないことは、書き出すだけでOK

「何がわからないか、わからない」そんな時は、思いつくまま紙に書き出すのがおすすめです。

制度、費用、申請書の書き方…どんな小さなことでも構いません。
そのメモを持って、市役所やケアマネジャーに相談すれば、整理が進みます。

正解じゃなくて大丈夫。まず“動く”ことが大事

「間違えたくない」と慎重になる気持ちは、よくわかります。
でも、制度は何度でも相談しながら修正できます。

「完璧じゃなくていい」
この言葉が、迷うあなたの背中をそっと押してくれるかもしれません。

“ギリギリ”になる前に、まず一歩

介護サービスは、「限界になってから」より「まだ余裕があるうち」に始めるほうが、スムーズです。
たとえ週1回の見守り訪問でも、介護する側の体力・心の余裕がぐっと変わります。


まとめ:いま確認したい5つのポイント

  • 認定された介護度で使えるサービスを把握していますか?
  • 自己負担割合(1〜3割)を確認しましたか?
  • ケアマネジャーとつながっていますか?
  • ケアプランに希望のサービスが含まれていますか?
  • 疑問点を紙に書き出して、相談の準備ができていますか?

この記事が「うちのことかも」と感じた方は、ぜひ周りの方にもシェアしてください。
また、わからないことがあれば、お気軽にコメントで質問してくださいね。

あなたはひとりじゃありません。
一緒に、制度を“使いこなして”いきましょう。

このページをブックマークしておけば、いつでも確認できます。
いざという時の安心のために、ぜひ保存しておいてください。

不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。

「この記事が役に立った」「共感した」そんな声をぜひコメントで聞かせてください。
SNSでシェアしてくださると、同じように不安を抱える誰かの力になります。

あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。

平行棒でリハビリする人のイラスト

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
check