入所施設を選べない家族へ。違いが一目でわかる簡単チャート付き

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。
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「どこがいいのか分からない」その迷いに寄り添います

「特養に申し込んだけど、本当に合っているのか分からないんです」

退院支援カンファレンスの場で、介護初心者のユキさんがそう話してくれたことがあります。
資料を見ても、ネットで調べても、どの施設も同じに見えてしまう――。これは、決して特別なことではありません。

私たち医療者ですら、制度の違いを完全に理解していないこともあります。だからこそ、まずは「違いを知ること」から始めるのが安心です。

この記事では、主な入所施設の特徴と違いを、現場での経験をもとにやさしく解説します。
最後まで読めば、「うちにはこれが合っていそう」と、自然に判断できるようになります。


選択肢が多すぎて、逆に分からなくなる

入所型の介護施設は、主に5つに分かれます。特養(特別養護老人ホーム)、老健(介護老人保健施設)、有料老人ホーム、グループホーム、そしてサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)。

どれも「住めて介護もある」ように見えるため、「どう違うのか」「どう選べばいいのか」が分かりづらくなりがちです。

でも、それぞれには明確な目的と役割があります。
まずは、その違いから整理していきましょう。


入所型介護施設の種類と特徴

種類別チャート

高齢者介護施設 比較チャート

高齢者介護施設 比較チャート

特別養護老人ホーム(特養)
対象
要介護3以上の方
特徴
長期入所・生活の場
費用感
比較的低め
(所得に応じて軽減措置あり)
医療体制
日常的な医療対応は限定的
「もう自宅に戻るのは難しい」という方が、落ち着いて過ごせる場所です。人気が高いため、都市部では待機期間が長くなる傾向があります。
介護老人保健施設(老健)
対象
リハビリ目的で一時的に入所したい方
特徴
在宅復帰を目指すリハビリ施設
費用感
中程度
(医療保険に準ずる)
医療体制
医師・看護師常駐
退院直後など、「もう少し様子を見たい」「いきなり在宅は不安」というときに最適です。3~6か月の利用が一般的で、退所後の生活設計も重要になります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
対象
軽度介護~自立の方
特徴
見守り付きの住宅型施設
費用感
比較的リーズナブル
医療体制
外部の訪問医療・介護との連携が前提
「一人暮らしは不安」「でもまだ元気」という方に向いています。将来的に介護度が上がると、別の施設に転居する必要がある場合もあります。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
対象
認知症の診断を受けた方
特徴
9人以下の少人数制・共同生活
費用感
中程度
医療体制
基本的な医療対応のみ
「家庭的な環境で穏やかに暮らしたい」という方にぴったりです。地域密着型のため、居住地に制限があることもあります。

どう選べばいい?看護師の視点から

まずは「今」必要なサポートを見極める

「とりあえず特養に申し込んだ」「近くに空いている老健があったから」――よくある選び方ですが、本当にその人の状態に合っているかどうかが大切です。

例えば、「リハビリをすればまだ動けそう」な方にとっては、特養よりも老健の方が適している場合があります。


要介護度と施設の受け入れ条件を確認する

「要介護3以上じゃないと特養に入れない」など、施設ごとに受け入れ条件があります。
まずは、担当のケアマネージャーと一緒に、要介護認定の内容を確認しましょう。


家族の生活とのバランスを考える

どんなに良い施設でも、遠すぎて面会に行けない場所では、家族の負担が大きくなってしまいます。

「施設選びは、本人だけでなく家族も含めた暮らしの設計です」
これは、私が何度もお伝えしていることです。


見学や体験入所を活用しよう

パンフレットやホームページだけでは分からないことが、現地にはたくさんあります。
スタッフの雰囲気、他の入所者との関係性、施設内のにおいや清潔感。実際に足を運ぶことで「ここは安心できそう」と感じられることも多いです。

「もし迷ったら、まずは見学してみるのがおすすめです」


最後に伝えたい7つの選び方のヒント

☑ 入所の目的を「今の困りごと」から整理する
☑ 要介護度と施設の条件を照らし合わせる
☑ 家族の生活とのバランスを忘れずに
☑ 豪華さや費用より「合っているか」を重視する
☑ 見学で雰囲気を肌で感じる
☑ 迷ったときはケアマネや看護師に相談する
☑ 最初から正解を求めすぎなくて大丈夫。途中で見直してもOKです


「特養、老健、グループホーム…どこがいいのか分からない」
そんな迷いを抱えていたあなたが、この記事を読んだあとには、「今、これが合っているかも」と感じてもらえていたらうれしいです。

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あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。

入所型施設についてのイラスト

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