入居後3日で違和感…看護師が語る意外な盲点7選

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。
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その違和感、気のせいじゃありません

「最初は、安心してお願いできると思ったんです」

これは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居したお母様の様子を見て、ある娘さんが語ってくれた言葉です。パンフレットには「安心」「見守り」「自由な暮らし」など、魅力的な言葉が並んでいました。しかし入居から3日、母は食事の量が減り、言葉数も少なくなっていきました。

なにがどう悪いというわけではない。でも、「何か違う」と感じた。そんな経験を持つご家族は少なくありません。

私は回復期病棟で働く看護師として、数多くの「その後」に立ち会ってきました。この記事では、サ高住選びで見落とされがちな7つの盲点を、実体験を交えてお伝えします。後悔しない選択のヒントになれば幸いです。


サ高住の実像と、介護者が抱きやすい誤解

サ高住は「住まい」であって「施設」ではない

サービス付き高齢者向け住宅は、「住宅」として扱われます。介護施設とは異なり、日常の暮らしに必要なサービスを最低限にとどめたスタイルです。

医療職は常駐しておらず、介護サービスも外部との契約が前提。必要に応じて訪問介護や訪問看護を利用しますが、それには別途手続きと費用が発生します。

期待とのズレが「後悔」になることも

「トイレ介助や食事のサポートもしてくれるはず」と思っていたのに、実際は1回ごとに料金がかかり、予想以上に費用が膨らむ――。そんな声も多く聞きます。

あくまで“自宅”の延長であり、手厚な介護を想定している方には不向きな場合もあります。

医療との距離があることも把握を

サ高住では、夜間の体調不良や急な変化に即対応できる体制が整っていないことも少なくありません。スタッフが常駐していても、医療的な判断ができるとは限らないのです。

入居前に「急変時の対応」や「医療機関との連携体制」は必ず確認しておきましょう。


コストの内訳は、事前にしっかり確認を

「安くすむ」と思い込むのは危険

サ高住は、有料老人ホームに比べると費用が抑えられている印象があります。しかし実際は、トイレ介助1回〇〇円、ポータブルトイレの処理〇〇円など、サービスごとに料金がかかります。

見学時には「どのサービスに、どれくらい費用がかかるか」を明示してもらいましょう。

入居時の出費にも注意

敷金が不要なケースもありますが、契約手数料や家財保険料、引っ越し代、家具の購入費など、見落とされがちな初期費用があります。月額費用にばかり目が向くと、あとで困ることに。

初期費用・月額費用・サービスごとの加算料金、それぞれをしっかり把握しておきましょう。


看護師が見てきた、7つのよくある盲点

「見守り」が想像より簡素な場合がある

「見守りサービス」と書かれていても、実際には朝と夕方に安否確認するだけというケースもあります。夜間は無人という施設も。

「見守り」の実際の内容は、必ず具体的に聞いておくことをおすすめします。

自由な暮らしのはずが、孤独につながることも

サ高住では、起床や食事の時間が自由です。一見よさそうに思えますが、生活にメリハリがなくなり、会話の機会も減りがち。

孤立感が深まると、認知機能や体力の低下にもつながります。

食事の対応力が施設ごとに大きく異なる

糖尿病食や嚥下調整食、刻み食などへの対応ができない施設もあります。「なんとなく食べづらい」「食べる気がしない」という状態が続くと、体力は確実に落ちていきます。

提供される食事の具体的な内容は、見学時に確認しておくと安心です。

医療支援が乏しく、軽い不調でも入院に

日常的な健康管理や、軽微な体調変化への対応は、サ高住の得意分野ではありません。発熱や嘔吐など、軽い不調でも「病院を受診してください」となることが多く、本人も家族も負担を感じやすくなります。

医療との連携状況や、緊急時の対応については、事前に具体的に確認しておきましょう。

スタッフの質・体制にばらつきがある

同じ「サ高住」でも、施設によって雰囲気やケアの丁寧さは大きく異なります。実際に働いているスタッフと話すことで、その空気感がわかることも多いです。

「一緒に働きたいと思えるか?」という視点も、意外に参考になります。

契約条件によっては退去の可能性も

要介護度が上がると、契約上、退去を求められることがあります。「終の棲家」として検討している場合は、特に契約書の内容を丁寧に確認しましょう。

「もし要介護3になったら?」という仮定でシミュレーションしてみると安心です。

入居後すぐの違和感を、見過ごさないで

私がこれまで見てきたケースでは、入居後3日以内に「何かが違う」と感じる方が多くいました。その“直感”は、看護師の目から見ても的確であることが多いのです。

言葉にできない違和感でも、「気のせいかな?」で済まさず、一度ゆっくり様子を見に行くことをおすすめします。


まとめ:後悔しないために、確認したい7つの視点

  • サ高住は「住宅」であり「施設」ではない
  • 医療や介護のサポートは限定的
  • 各サービスに追加費用がかかることも多い
  • 孤立や生活の質の低下が起こることも
  • スタッフ体制やサービス内容は施設ごとに異なる
  • 契約条件によっては退去が必要な場合も
  • 入居後すぐの様子にこそ“ヒント”がある

「なんとなく不安」を見過ごさず、契約前の確認と、入居後の早期フォローが何より大切です。この記事が、その第一歩となれば幸いです。

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不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。

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あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。

面談を受けている高齢夫婦のイラスト

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