その「助けて」は制度で応えられる。看護師が見た6つの現場

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「もう無理かもしれません……」

そう、静かに漏らしたのは50代後半の女性。お母さまを自宅で介護しながら、パートとお孫さんの世話もこなしていた方でした。声は張っていません。ただ、心の奥底から絞り出すようなその一言に、私は看護師として、ただ耳を傾けるしかありませんでした。

その方は、これまで一度も介護サービスを使ったことがありませんでした。「うちはもっと大変になってからじゃないと、使えないと思ってました」と。

ですが実際には、「限界の手前」でこそ、制度は使えるように設計されています。

この記事では、回復期病棟の現場で実際に出会った6つの介護ケースを紹介します。もしあなたが今、「もう限界かもしれない」と感じているなら、それは行動のきっかけです。

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あなたが「限界に近い」と感じるとき

なんでもないことで涙が出る

最近、涙もろくなったと感じたことはありませんか?

感情のオーバーフローは、体からのサイン

ドラマを見て泣いたり、キッチンでふと涙が出たり。

そんなとき、「年齢のせいかな」と流してしまうこともあります。

けれど、それは感情の疲れが限界に近づいているサインかもしれません。

感情を抱え込みすぎると、体に出ます

私たちの病棟でも、介護者ご本人が救急搬送されてくることがあります。

「疲れている自覚がなかった」と話す方がほとんどです。

泣いてしまうこと=悪いことではなく、“助けて”のサインと捉えてください。


介護している相手に、イライラしてしまう

「こんなことで怒る自分っておかしいのでは…」と思う方へ。

それは、あなたの心の限界を知らせるサイン

ひとりでずっと介護をしていると、たとえ家族でも「重荷」に感じてしまうことがあります。

それは冷たい心ではなく、疲労と孤独が積み重なった結果です。

その“罪悪感”がさらにあなたを苦しめます

「水を頼まれて怒鳴ってしまった」と話した娘さんがいました。

あとで自己嫌悪に陥る……それこそがSOSです。

**サービスを使うことは“逃げ”ではなく、“支えるための手段”**です。


「まだ大丈夫」と思ってしまう

支援を受けるのはもっと重症の人だけ、と思っていませんか?

介護サービスは“最後の手段”ではありません

実際には、ショートステイや訪問看護など、早めに使える制度がたくさんあります

「倒れる前」に動くほうが、介護の継続性も高まります。

迷ったときは、まずケアマネに相談を

「とりあえず相談だけ」でも構いません。

申請も手続きも、ケアマネジャーがサポートしてくれます。


本当に役立つ介護サービスたち

ショートステイで“数日間の休息”を

「1泊だけでも休めたら」——そんな思い、ありませんか?

休むことに罪悪感はいりません

あるお母さんは、ショートステイで3日間子どもを預けました。

その後「初めて、夜ぐっすり眠れました」と話されていました。

思ったより簡単に利用できます

ケアプランが整っていれば、手続きはスムーズです。

「いざという時」に備えて、あらかじめプランに組み込んでおくのも安心です。


福祉用具で“身体の負担”を減らす

「介護ベッドは高い」と思っていませんか?

実は、レンタルで9割負担軽減されます

電動ベッドやシャワーチェアなど、介護保険でレンタルできる福祉用具は多数あります

あるご家族は、購入ではなくレンタルに切り替えることで15万円以上節約できました。

状況に応じて入れ替え可能です

レンタルなら、「試してから決める」「症状に応じて変える」こともできます。

初めてでも、ケアマネに相談すれば安心です。


訪問看護で“医療の不安”を和らげる

「注射のやり方、これで合ってるのかな…」

そんな不安を抱えている方も多いです。

医療のプロが、家庭に訪問してくれます

訪問看護師は、血圧管理や傷の処置、服薬管理などをサポートします。

不安を直接聞いてくれる存在がいることで、「間違えたらどうしよう」が減っていきます

精神的な支えにもなります

「週2回の訪問があるから、安心して寝られるようになりました」

これは、ある娘さんの言葉です。

介護の孤独を和らげてくれる存在としても、大きな役割を果たします。


ケアプランの見直しで“今の暮らしに合わせる”

最初に決めたプラン、今も合っていますか?

プランは“変えていい”のです

家族の状況や本人の状態は、月日とともに変わっていきます。

ケアマネジャーには、「プランの見直し」に応じる義務があります。

無料の相談窓口もあります

市区町村の介護相談窓口や、地域包括支援センターでも対応してくれます。

「どこから始めればいいかわからない」ときは、まず電話1本でOKです。


支援を使わなかったときのリスク

経済的負担が大きくなる

「お金をかけたくないから自分でやる」——それ、かえって損かもしれません。

自己負担100%は長く続きません

あるご家族は、自費でヘルパーを頼んでいましたが、介護保険を使えば1回300円で済むケースも

制度を知らないだけで、家計への圧迫は大きくなります。


体力・精神力ともに崩れる

無理を続ければ、倒れるのは介護者自身です。

介護者が入院、という事例も

実際に、夫の介助中に倒れ、そのまま入院となった奥様もいます。

「まとまって眠れた夜なんて、半年ぶりだった」と話してくれました。


孤立感が燃え尽きを招く

「誰も私のことをわかってくれない」——

この感覚が、精神的な疲労を倍増させます。

誰かと話すだけで変わります

デイサービスの送迎時、訪問看護の会話、地域のカフェスペース——

誰かとつながるだけで、“ひとりぼっち”という感覚は和らぎます。


まとめ:「助けて」に制度で応える方法が、あります

声に出していなくても、内心で「限界だ」と思っているあなたへ。

制度は、あなたを支えるためにあります。


✅セルフチェックリスト(1つでも該当すれば要相談)

  • 最近、感情的になりやすいと感じる
  • 介護している人にイライラしてしまうことがある
  • 自分の通院や健康管理を後回しにしている
  • 助けを求めることに罪悪感がある
  • 2週間以上、きちんと休めていない

1つでも「当てはまるかも」と思ったら、それが“相談していいサイン”です。

ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院の看護師、誰でも大丈夫です。

「私が我慢すればいい」と思い込まないでください。

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その言葉が、次の誰かの「救い」になるかもしれません。

あなたは、ひとりじゃありません。

そして、ずっとひとりで頑張る必要もないのです。

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あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。

介護保険について考える高齢男女のイラスト

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