退所を急かされる?それ、本当ですか?
「老健って3ヶ月で出なきゃいけないんですか?」
カンファレンスで、あるご家族が不安げに問いかけてきました。
実際、多くの方が「3ヶ月ルール」という言葉に振り回されています。
しかし現場で働く看護師としては、そう単純な話ではないことを日々実感しています。
この記事では、老健(介護老人保健施設)の「3ヶ月ルール」にまつわる誤解と、実際の運用の違いについて、7つの視点から解説します。
施設入所を検討中の方、退所が近づいて不安な方へ、少しでも安心材料を届けられたら嬉しいです。
老健における「3ヶ月ルール」とは
制度ではなく“目安”として存在
「3ヶ月経ったら必ず退所」という法律や制度はありません。
厚労省の通知では、「リハビリの進捗や在宅復帰の目安として、3ヶ月を一区切りとすることが望ましい」とされています。
つまり、「ルール」というよりは、「節目」という位置づけです。
延長できるケースもある
たとえば以下のような状況では、3ヶ月を超えて入所を継続することがあります。
- リハビリの効果が続いている
- 在宅生活の準備が整っていない
- 退所による心身の不安が大きい
現場でも、患者さんとご家族の状況に応じて柔軟に対応しています。
“期間”ではなく“状態”を見る視点
「あと何日」というカウントダウンではなく、「どのくらい生活に近づいてきたか」を重視するのが老健の本質です。
生活に近い動作(トイレ動作、食事の準備、移動)が自立できるかを、多職種で確認しています。
入所期間を左右する3つの視点
リハビリの到達度
理学療法士や作業療法士が毎日行うリハビリで、基本動作がどこまで安定しているかが大切な判断材料になります。
一つずつ丁寧に積み上げる姿勢は、高く評価されます。
ご家族の支援体制
退所後の生活がうまくいくかどうかは、ご家族の受け入れ体制にも左右されます。
例えば「手すりの設置がまだ」「通所サービスの利用が未定」などがあると、延長の理由となりえます。
施設との対話
「まだ準備ができていません」と一言伝えるだけで、相談の場が開かれやすくなります。
施設側も「一緒に考えよう」と姿勢を変えることが多いです。
退所が近づくタイミングでの対話は、特に重要です。
退所が近づいたときに考えること
延長できない場合の選択肢
老健以外にも、多様な介護サービスがあります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- サービス付き高齢者住宅
- 短期入所(ショートステイ)
- 自宅介護+訪問看護・訪問リハビリ
これらを組み合わせて、次の一歩を整えることが可能です。
「追い出された」とは捉えないで
「退所してください」と言われると、拒絶されたように感じるかもしれません。
でも現場では、「ここまで頑張ったから、次へ進める」という前向きな意味合いで伝えることが多いのです。
焦らず、丁寧に“次”を決める
退所までにできることはたくさんあります。
制度や費用の相談、見学、家族会議など、一つひとつ進めていきましょう。
「わたしたちに何ができますか?」と声をかけてもらえると、スタッフも全力でサポートしやすくなります。
まとめ:3ヶ月ではなく、生活を見よう
以下のポイントを意識するだけで、焦らずに対応できます。
- 3ヶ月は目安であり、義務ではない
- 延長が可能なケースは多く存在する
- 状態と環境を総合的に評価している
- 施設との対話は“交渉”ではなく“相談”
- 退所はゴールではなく次のステージ
- 1人で抱え込まず、早めに声をかけて
介護は制度だけで語れるものではありません。
その人の人生や家族の物語に寄り添ってこそ、良い選択肢が見えてくると私は信じています。
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一緒に、よりよい介護の選択肢を広げていきましょう。
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不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。
あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。