
「80代の母が、少し前のことをすぐに忘れてしまいます…。これって、認知症のせい?ただの物忘れとは違うの?」



「認知症の短期記憶障害って、具体的にどんな症状が出るの? 日常生活にどんな影響があるのか知りたい。」



「認知症の親の短期記憶障害に対応していると、こっちも疲れてしまいます…。在宅介護でできる具体的な工夫や、介護者の心のケアについても知りたい。」
もし、あなたが今、このような疑問や不安を感じているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。
80代になり、「少し前のこと」を頻繁に忘れるようになった場合、認知症の初期症状である短期記憶障害の可能性があります。
この記事を参考に、短期記憶障害への理解を深め、より穏やかな毎日を送るための一歩を踏み出しましょう。
1. 80代の「少し前のこと」を忘れる、それって?
80代になり、「少し前のこと」を頻繁に忘れるようになったら、認知症の初期症状である短期記憶障害の可能性があります。
加齢による物忘れと認知症による短期記憶障害は異なります。認知症の場合、体験したこと自体を忘れてしまったり、同じことを何度も聞いたりするようになります。
- 数分前、数時間前の食事の内容を思い出せない。
- さっきまで何をしていたか、何を話していたかを忘れてしまう。
- 昨日、今日あった出来事を思い出せない。
- 新しい情報を覚えることが極端に難しい。
- 同じことを何度も繰り返し言ったり、聞いたりする。



80代で「少し前のこと」を頻繁に忘れる場合は、認知症の可能性を考慮し、注意深く観察していく必要がありそうです。
2. 認知症の短期記憶障害、中核症状との違い
短期記憶障害は、認知症の中核症状の一つであり、特に最近の出来事を覚えることが難しいという特徴があります。
認知症の中核症状には、短期記憶障害の他にも、見当識障害や判断力の低下などがありますが、短期記憶障害は、初期段階から現れやすく、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
- 短期記憶障害
-
- 数分前、数時間前の出来事を忘れる。
- 新しい情報を覚えられない。
- 他の認知症の中核症状
-
- 見当識障害:時間や場所、人物が分からなくなる。
- 判断力の低下:状況を理解し、適切な判断をすることが難しくなる。



短期記憶障害は、認知症の中核症状の一つであり、他の症状とは異なる特徴があることが分かりました。
3. 「少し前のこと」を忘れると、どうなる?
「少し前のこと」を忘れる短期記憶障害は、日常生活に様々な影響を与え、介護を必要とする場面を増やしていきます。
記憶がないと、日常生活に必要な行動がスムーズに行えなくなり、不安や混乱を招く可能性があります。
- 薬の飲み忘れや飲み間違いが起こりやすくなる。
- 買い物に行っても、何を買いに来たか忘れてしまう。
- 約束や予定を忘れてしまう。
- 同じことを何度も聞いたり、繰り返したりしてしまう。
- 新しいことを覚えるのが難しく、行動範囲が狭まってしまう。



「少し前のこと」を忘れると、日常生活で様々な困りごとが増え、介護者のサポートが重要になってくることが分かりました。
4. 短期記憶障害への対応、4つの基本
短期記憶障害への対応は、焦らず、ゆっくりと、繰り返し伝えることが基本です。
認知症の方は、一度に多くの情報を処理するのが難しいため、根気強く、丁寧に接することが大切です。
- 焦らず、ゆっくりと伝える: 早口で話したり、難しい言葉を使ったりせず、分かりやすくゆっくりと伝えましょう。
- 繰り返して伝える: 一度で覚えられないことを前提に、何度も繰り返し伝え、安心感を与えるようにしましょう。
- 過去のこと、できることを褒める: 昔の思い出話や、得意なこと、できることを褒め、自己肯定感を高めましょう。
- スケジュールを可視化する、メモを活用する: スケジュールや手順を紙に書いたり、イラストで示すことで、理解を助けましょう。



とはいっても、、、



・何回言うねん!
・さっき言ったやんか!
・もういいって!大丈夫だから!



って言いたくなりますよね。
分かります。
プロだってそうです。安心してください。
人間だもの、イライラします。



口に出してしまった言葉は戻ってこないから、
きちんと相手に謝りましょう。
さっきはごめんね、いつもごめんね。
相手は覚えていなくても、しんどい気持ちを溜め込んでしまうので、
吐き出しておきましょう。



短期記憶障害への対応は、焦らず、ゆっくりと、繰り返し伝えることが大切だと再認識しました。
5. 80代の在宅介護、3つの工夫
80代の方の在宅介護では、短期記憶障害を考慮した、日常生活での工夫が大切です。
日常生活の中で、少しの工夫をすることで、認知症の方がより安心・安全に生活できるようになります
- 毎日のルーティンを作る: 毎日同じ時間に起床、食事、就寝することで、生活リズムを整え、安心感を与えましょう。
- 写真やイラストを活用する: 服薬の手順や、外出時の持ち物などを写真やイラストで示すことで、記憶を補いましょう。
- 声かけを工夫する、視覚的な情報と組み合わせる: 「ご飯ですよ」と声かけだけでなく、食卓を指さすなど、視覚的な情報と組み合わせることで、より分かりやすく伝えましょう。



日常生活の中で、ルーティンを作ったり、視覚的な情報を活用したりすることで、短期記憶障害による混乱を軽減できると分かりました。
6. 介護者の心の余裕、3つのポイント
短期記憶障害の介護は、根気と忍耐が必要です。介護者自身も、心の余裕を保つことが大切です。
介護者が疲弊してしまうと、認知症の方も不安になり、介護の質も低下してしまう可能性があります。
- 記憶障害は症状の一つ、責めない: 認知症の症状であり、わざと忘れているわけではないことを理解しましょう。
- 無理をせず、完璧を求めすぎない: 完璧な介護を目指すのではなく、できる範囲で、無理なく介護を続けることが大切です。
- 相談できる場所、人を確保する: 家族や友人、地域の相談窓口など、信頼できる人に相談し、一人で抱え込まないようにしましょう。





つらいのは、自分のことや思い出を忘れてしまうことだと思います。
しかし、エピソードに基づいた記憶を忘れていくのは、もう少し先の話です。もちろん個人差はあります。



けれど、私がキーパーソンにお伝えしたいのは、
覚えていることを期待しない、が大事だってことです。
覚えていることを期待しない
私が看護師として経験して思うのは、認知症の記憶障害、つまり「忘れてしまう」ことは、それだけ新しいことに対応する能力が弱っているということです。
頭の中で処理できる情報が限られていき、やがて新しい物事に触れるにつれ大切な思い出たちが零れ落ちていく、というイメージを持っています。
それが正しい認識ではないかもしれません。
それに、すべて忘れている方もいますが、その時点ではかなり症状が進んでいます。中には、認知症の方の中には大切なあなたがいるけれど、目の前にいるあなたとは一致しない、ということも多々あります。認知症の方の中にいるあなたは、小学生かもしれないし、一緒に暮らしていた時点のどこかのあなたかもしれないし、大事な思い出の時点のあなたかもしれません。
もしもあなたが誰か、が分からなくなってしまっても、相手の認知症の方が、目の前のあなたを「知らない人」と認識しているかは別の話です。
忘れることも、忘れられることもとてもつらい。お互いにつらくなってしまう。けれども、忘れてしまったからといって、忘れられてしまったからといって、あなたとその人の関係性が変わるわけではありません。
ならば、「覚えていることを期待する」ことがストレスになっているのではないでしょうか?



介護者自身の心のケアも、介護を長く続けるためには非常に重要だと改めて感じました。
7. 「少し前のこと」を忘れる、理解と支え
「少し前のこと」を忘れる短期記憶障害は、認知症の進行とともに顕著になることがありますが、周囲の理解とサポートで、より穏やかな生活を送ることが可能です。
周囲が認知症の症状を理解し、適切な対応をすることで、認知症の方も安心して暮らすことができます。また、介護者自身も、無理せず、周りの人に頼ることで、長く介護を続けることができます。



短期記憶障害への理解と、周囲のサポートが、認知症の方の生活をより良くするために欠かせないことを実感しました。