高齢者の転倒対策 6つのコツ|制限しすぎは逆効果?

体操をする人
著者について
  • 看護師6年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「親の転倒を何とか防ぎたいけど、一体どこまで制限して良いのか分かりません…。転倒予防のために、色々なことを禁止するのは、本当に正しいのでしょうか?」

「過剰な転倒対策は、かえって親の心身を弱らせると聞きました。具体的に、どのような悪影響があるのでしょうか?」

転倒予防と、親の自由な生活、どちらも大切にしたいのですが、両立させるには、どうすれば良いのでしょうか?」

もし、あなたが今、親御さんの転倒対策について、このような疑問や葛藤を抱えているなら、この記事はきっとお役に立てるでしょう。

転倒は、高齢者にとって大きなリスクですが、過度な対策は、かえって逆効果になることもあります。

この記事では、転倒対策の落とし穴、行動制限がもたらす悪影響、そして、安全と自由のバランスを取るためのヒントを、6つのポイントにまとめて解説します。

この記事を通して、親御さんが安心して、そして、その人らしく生活できるための、新たな視点を見つけてください。

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1. 転倒対策、やりすぎるとどうなる?

高齢者の転倒を防ぎたい気持ちは痛いほど分かりますが、転倒対策をやりすぎると、かえって親御さんの心と体を弱らせてしまう可能性があることを知っておきましょう。

転倒は、高齢者にとって大きなリスクであることは間違いありません。しかし、転倒を恐れるあまり、「危ないから、あれもこれもダメ」と、親御さんの行動を過剰に制限してしまうと、親御さんの日常生活から様々な楽しみを奪い、心身機能の低下を招いてしまう可能性があるのです。過保護になりすぎると、かえって逆効果になることもあるということを覚えておきましょう。

  • 「危ないから」と、日中の散歩や、友人との交流など、外出を極端に制限し、ほとんど家に閉じこもらせてしまう。
  • 「転ぶといけないから」と、趣味の活動を禁止してしまう。
  • 「危ないから」と、家の中でほとんど動かないように、過剰な介護をしてしまう。
  • 「転ぶといけないから」と、親御さんがやりたいことを、何でもかんでも「危ないからダメ」と頭ごなしに否定してしまう。

転倒対策は大切ですが、過度な行動制限は、親御さんの心身の健康を損なう可能性があることを理解し、バランスを考える必要があると感じました。

2. 行動制限、3つの悪い影響

親御さんの行動を制限しすぎると、心と体に、主に3つの悪い影響が出てしまう可能性があります。

人は、体を動かしたり、色々なことに挑戦したり、誰かと交流したりすることで、心身の健康を保っています。行動を制限するということは、これらの機会を奪うことになり、高齢者の生活の質を大きく低下させてしまう可能性があるのです。

  • 身体機能の低下: 体を動かさないことで、筋力が衰えたり、関節が硬くなったり、バランス感覚が悪くなったりと、身体機能が全体的に低下してしまいます。例えば、これまで、自分でできていたことが、徐々にできなくなってしまう、といったことが起こります。
  • 精神機能の低下: 毎日、同じことの繰り返しで、外部からの刺激が極端に少なくなり、脳の活動が低下することで、意欲が低下したり、気分が落ち込んだり、認知機能が低下してしまうことがあります。
  • 社会性の低下: 外出する機会が減り、友人との交流が減ったり、地域社会への参加が難しくなったりすることで、社会とのつながりが薄れてしまうことがあります。

行動制限は、身体、精神、社会性の全てに悪影響を及ぼす可能性があることを学びました。

3. 転倒対策、安全と自由のバランス

転倒予防は重要なことですが、親御さんが、その人らしく、自由に、そして、いきいきと生活できることも同じくらい大切にすべきことです。

転倒予防ばかりに気を取られ、親御さんの「やりたいこと」や「できること」を奪ってしまうと、親御さんの笑顔が失われてしまいます。転倒を予防することも大切ですが、それと同じくらい、親御さんの意思を尊重し、その人らしい生活を送れるようにサポートすることも大切なのです。

  • 「安全な範囲で」外出を促す:親御さんの体力や、認知機能の状態に合わせて、付き添いが必要な場合は、家族や介護ヘルパーに依頼するなど、無理のない範囲で外出を促しましょう。
  • 「安全に配慮した」運動を勧める:体力や体調に合わせて、無理のない運動や、リハビリテーションを勧めてみましょう。
  • 「可能な範囲で」趣味活動を続ける:ゲートボールや、カラオケ、手芸など、親御さんが、これまで楽しんできた趣味活動を、可能な範囲で続けられるようにサポートしましょう。
  • 「転倒しにくい環境」を整える:手すりの設置や、段差の解消など、家の中の環境を整えることも大切です。

転倒予防と、生活の質の維持、どちらも大切であることを理解し、バランスの取れた対策を考える必要があると感じました。

4. 環境整備で転倒リスクを減らす

親御さんが安心して、安全に生活できるように、住み慣れた家の中の環境を整えることは、転倒予防の基本です。

高齢者は、視力や平衡感覚が低下しているため、若い頃には気にならなかった、ちょっとした段差や、滑りやすい床などが原因で転倒してしまうことがあります。

  • 段差の解消: 玄関や、トイレ、浴室などの段差をできる限り解消するようにしましょう。段差解消のためのリフォームや、段差解消機などを検討するのも良いでしょう。
  • 手すりの設置: 廊下や階段、トイレ、浴室などに手すりを設置し、立ち上がりや、移動をサポートしましょう。
  • 滑りにくい床材の使用: ワックスがけされた床や、濡れた床などは滑りやすいため、滑りにくい床材を使用するようにしましょう。カーペットやマットなどを敷くのも効果的です。
  • 十分な照明の確保: 夜間、トイレに行く際など、足元を照らす照明を設置しましょう。センサーライトなどを活用すると、より便利になります。
  • 整理整頓: 床に物を置かないように、整理整頓を心がけ、つまずきやすいものをなくしましょう。

環境整備は、転倒のリスクを減らすために非常に有効であり、できることから少しずつ始めることが大切だと感じました。

5. 体力維持も転倒対策の1つ

親御さんが、自身の力で体を支え、バランスを保てるように、日頃から体力維持に努めることも、大切な転倒対策の一つです。

高齢になると、筋力やバランス能力が低下するため、転倒しやすくなります。適度な運動を行い、身体機能を維持することで、転倒のリスクを減らすことができます。

  • 筋力トレーニング: 椅子に座ったままできる、足上げ運動や、腕の上げ下ろし、ペットボトルを使った筋トレなど、無理のない範囲で、筋力トレーニングを行いましょう。
  • バランストレーニング: 椅子につかまりながら、片足立ちをしたり、バランスボールに座るなど、バランス感覚を養う運動を行いましょう。
  • ウォーキング: 毎日、15分~30分程度のウォーキングを行い、足腰を鍛えましょう。
  • ストレッチ: 体を柔らかく保つために、ゆっくりとストレッチを行いましょう。

体力維持のための運動は、転倒予防だけでなく、健康寿命を延ばすためにも重要であることを改めて感じました。

6. 転倒予防、専門家とタッグを組む

転倒予防は、自己流で行うのではなく、医師や理学療法士などの専門家と連携することで、より効果的に、そして安全に行うことができます。

専門家は、高齢者の身体機能や、生活環境などを詳しく評価し、その人に合った、最適な転倒予防プログラムを作成してくれます。

  • 医師に相談し、骨粗鬆症の検査や治療を受けることで、骨を強くし、骨折のリスクを減らしましょう。
  • 理学療法士や作業療法士に、自宅でできる運動方法や、福祉用具の選び方について、具体的なアドバイスをもらいましょう。
  • ケアマネージャーに、介護保険サービスを利用するための相談をし、訪問リハビリテーションや、福祉用具のレンタルなどを検討しましょう。

転倒予防は、専門家と連携することで、より効果的に、そして安全に進めることができることを学びました。

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