夜中に迷ったら…救急判断の軸となる5つの視点

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「動かないんです。話もしない…。どうしたらいいか分からなくて」
——夜中の2時半。私のスマホに、介護者さんからの一本の電話が入りました。
静かな声でした。けれど、その奥には、判断の重さと孤独な不安がにじんでいました。

高齢の家族が夜中に「いつもと違う」様子を見せたとき、
多くの人が迷います。
「救急車を呼ぶべき?」

この記事では、これまで紹介してきたケースをもとに、判断の軸となる5つの視点を整理しています。
「大ごとにしたくない」
「でも、何かあったら後悔するかも」
そんなふうに、不安と責任感のはざまで揺れるキーパーソンの方へ。
今夜、あなたの迷いが少しでも軽くなるよう、現場の視点から言葉を届けます。

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なぜ、夜は判断が難しく感じるのか


ひとりの責任感が、静けさの中で増すから

夜は、誰かに相談したくても連絡できず、ひとりで判断する重圧を強く感じる時間帯です。

静けさが不安を大きくする

家中が静まり返り、自分の五感だけが頼りになると、ほんの少しの変化でも強く不安を感じやすくなります。

疲れた頭では判断も鈍る

一日介護や仕事を終えて、心身ともに疲れている夜は、普段ならすぐ決断できることでも、迷いやすくなります。


「動かない方がいいかも」というためらいが生まれるから

夜は選択肢が限られており、「119しかない」と思うことで、逆に判断が鈍ることがあります。

医療機関にアクセスしにくい

夜間は多くの診療所や訪問看護が閉まっており、「病院に行く=救急車」の構図になりがちです。

救急車を呼ぶ=大ごとに感じる

深夜のサイレン、近所の目…。そう思って、我慢してしまう方も少なくありません。


「大げさかもしれない」と「何かあったら後悔する」の板挟み

多くの介護者が「呼ばなければよかった」と「呼ばなくて後悔した」の間で揺れます。

呼びすぎと思われたくない

「大したことなかったら恥ずかしい」そんな気持ちがブレーキになります。

けれど、何かあったら一生後悔する

その迷いがある時点で、すでに「いつもとは違う」と気づいている証拠です。


判断の基準は「時間」ではなく「症状」


「何時か」より「どうなっているか」を見る

夜中であっても、症状が深刻であれば、ためらう必要はありません。

昼間だったら、どう判断しますか?

「昼間なら呼んでいたかも」と思うなら、それがあなたの本音かもしれません。

症状を軸に判断する

意識がぼんやり、呼吸が浅い、体が動かない、強い痛みがある——これらがあれば、迷わず対応を。


夜だからといって医療の判断は変わらない

医療機関も救急隊も、夜間に備えて待機しています。

医療者は24時間対応の体制です

夜間に救急車を呼ぶことは、決して非常識ではありません。むしろ、そのための体制が整えられています。

夜の不安はみんな同じ

あなたが感じている迷いや怖さは、決して特別なものではありません。他の介護者も経験しています。


あらかじめ備えておくと、迷いが減る

夜間に起こりうることを想定して準備しておくと、いざという時に慌てずに動けます。

書類・持ち物の整備

お薬手帳、保険証、かかりつけ医の連絡先などは、すぐに取り出せる場所にまとめておきましょう。

#7119の登録

「119か、どうか分からない」ときに、看護師が電話で相談にのってくれる#7119(地域によって利用可)も、心強い選択肢です。


あなたの「夜間緊急対応プラン」を作りましょう


平常時にこそできる準備があります

慌てているときより、落ち着いている今のほうが、準備ははかどります。

「もしも」を想像してみる

「夜中に呼吸が苦しそうになったらどうする?」と想像してみるだけで、行動の選択肢が明確になります。

冷蔵庫にチェックリストを貼っておく

「呼吸確認」「意識確認」「迷ったら#7119」など、簡単なリストを目につく場所に貼っておくと安心です。


感情の準備も、行動と同じくらい大事です

夜間の迷いに備えるのは、物理的なことだけではありません。

迷うことは、責任感の証です

「判断できない自分が情けない」と思う必要はありません。迷うのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。

完璧じゃなくていい

必要なのは、「誰かを守りたい」と思う気持ち。その気持ちこそ、何より大切な備えです。


終わりに:迷いは、愛情の証です

「こんなことで救急車を呼んでいいのかな…」
「もし何もなかったら、迷惑じゃないかな…」

そんなふうに、夜中に検索しているあなたは、
すでに立派な“備え”を始めています。

判断に「絶対の正解」はありません。
けれど、「いつもと違う」と感じたその直感は、
まぎれもない“気づき”です。
それが、行動の起点になります。


☎ #7119も活用しましょう

夜間や休日、救急車を呼ぶか迷ったときには、「#7119」が頼りになります。
看護師などの専門職が電話で相談に応じ、症状の緊急度や対処法を一緒に整理してくれます。
地域によって対応状況が異なるため、事前に確認し、スマホに登録しておくのもおすすめです。


✅ 救急車を呼ぶか迷ったときの5つの確認

  • 意識がぼんやりしている、呼びかけに反応しない
  • 呼吸が浅い、または苦しそう
  • 倒れて立てない、動けない
  • 胸痛、頭痛、腹痛など強い痛みがある
  • 直感的に「いつもと違う」と感じる

ひとつでも当てはまるなら、迷わず119を。
あなたの判断は、誰かの命を守るかもしれません。


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あなたの行動が、だれかの「迷いの夜」に灯りをともします。

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不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。

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あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。

救急車のイラスト

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