「なんだか息が荒いけど、大丈夫かな?」「動悸がしてるみたいだけど、救急車を呼ぶべき?」
そんなとき、多くのご家族が“迷いの3秒”に立たされます。
回復期病棟で日々患者さんと向き合うなかで、私はこの“判断の瞬間”を何度も目にしてきました。早めの対応で助かったケースもあれば、「もう少し早く決断できていれば」と感じた場面もありました。
この記事では、医療者でなくても使える簡単な3秒チェックをご紹介します。動悸や呼吸の異常を見逃さず、「呼ぶべきときに呼ぶ」ための視点を、現場の看護師としてお届けします。
動悸と呼吸苦に気づくためのポイント
「動悸かも?」と思ったら
高齢者の動悸には、不整脈など心臓由来の問題が潜んでいることがあります。脈の乱れや胸の違和感、ふらつきを伴う場合は要注意です。
特に、普段と違う「脈が速い・飛ぶ・不規則」などの症状がある場合は、様子を見過ぎないほうが安心です。
息苦しさを見極めるには
安静にしているのに息が苦しそう、顔色が青白い、唇が紫がかっている──それは、酸素がうまく体に行き届いていないサインかもしれません。
高齢者では、本人が「苦しい」と言えないこともあるため、見た目の変化をしっかり観察することが大切です。
背景にある可能性のある病気
心不全やCOPD、心房細動などの不整脈は高齢者に多く見られます。
また、利尿薬や心臓の薬の影響で電解質が乱れていることも。
こうした背景がある場合は、軽い変化でも「ただの老化」と見過ごさないことが大切です。
迷わず救急車を呼ぶべき場面
こんな症状が出たら、すぐに行動を
- SpO2が90%未満(パルスオキシメーターがあれば)
- 意識がもうろうとしている、反応が遅い
- 胸が締めつけられるように苦しい、冷や汗や吐き気がある
これらのサインが出ているときは、ためらわず救急要請を。一刻も早い対応が命を救う場面です。
見過ごされやすい初期症状
- 突然ぼんやりして、話が通じにくい
- 呼びかけに反応が鈍い、言葉が出にくい
こうした微細な変化も、脳の酸素不足のサインであることがあります。「なんとなく変だな」と思った時点で、何らかの行動を起こすのが安心です。
3秒でできるセルフチェック法
観察:呼吸の様子を見る
- 話すと息切れする
- 呼吸数が多く、努力して息をしている様子がある
このような場合は、呼吸の余裕がなくなってきている可能性があります。
計測:数値で判断する
- SpO2が92%以下(軽度低下でも要観察)
- 脈拍が不規則または120を超える
ご家庭にパルスオキシメーターがある場合は、ぜひ活用してください。数値だけでなく、「普段と違う」という違和感も大切です。
声かけ:反応を確認する
- 「今日は何曜日?」など簡単な問いかけをしてみましょう
- 反応が遅い、的を射ない答え、うまく言葉が出てこないなどは、脳への酸素供給低下の可能性があります
✅ この3つのうち、2つ以上が当てはまるなら、救急車を呼ぶ判断を強く検討してください。
救急隊員に伝えるべき内容
状況は“そのまま”で伝える
- いつから、どんな症状が出ているか
- SpO2、脈拍数、不整脈の有無
- 既往歴(心不全、不整脈、呼吸器疾患など)や服薬内容(利尿薬、不整脈の薬など)
曖昧な表現よりも、「見たまま」「気づいた変化」を具体的に伝えることで、適切な対応がスムーズになります。
まとめ:3秒の判断が、後悔を減らす
救急車を呼ぶか迷うとき、「呼びすぎたかも…」と感じる方もいます。
けれど、本当に怖いのは、「呼ぶのが遅すぎた」後悔です。
まとめチェックリスト:
- 会話が途切れるほどの呼吸困難
- SpO2が92%以下
- 動悸が強く、脈が速い・乱れる
- 反応が鈍い、混乱している
- 胸の痛み、冷や汗、吐き気などを伴う
→ 2項目以上が当てはまれば、救急車を呼ぶのがおすすめです。
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