「お腹が張ってるって言うけど、ただの便秘じゃないの?」
ある日、ご家族からこんな声がありました。
しかしその後、嘔吐が始まり、救急搬送が必要な状態に。実は、便秘と嘔吐の組み合わせは、高齢者にとって重大なサインであることも少なくありません。
このページでは、「便が出ない」「嘔吐しているけれど様子見でいいのか迷う」と感じた時、何を手がかりに判断し、どう動けばいいかをお伝えします。
現場の看護師として、実際にあった事例や観察ポイントも交えながら、できるだけ具体的にご紹介します。
便秘と嘔吐の背景を知る
高齢者が便秘になりやすい理由
薬の影響と体の変化
高齢者では、血圧の薬や痛み止め、便を硬くする作用のある薬などが影響しやすく、腸の動きも年齢とともに低下します。
水分と活動量の不足
「水をあまり飲まない」「外出しない」ことが日常化すると、便のかさも減り、出にくくなります。これが慢性的な便秘へとつながります。
嘔吐が意味する体の異変
単なる胃腸炎だけではない
嘔吐だけで「様子見」と思いがちですが、腸閉塞や腹膜炎などが隠れていることも。特に便秘とセットで現れた場合は注意が必要です。
こんなときは要注意
・吐いたものが便のような臭いがする
・何度も吐いて水分が取れない
・熱や意識の低下がある
こうしたときは、早めの受診を検討してください。
救急車を呼ぶか迷ったときの判断基準
すぐに対応すべき症状とは
便秘がひどくて嘔吐が始まった
腸閉塞の可能性があります。腹部の張りや吐き気があるときは、急変のリスクが高まります。
尿が出ない、尿に血が混じる
排尿トラブルも重大です。血尿や排尿困難に加え、意識の変化があればすぐに対応を。
見逃してはいけない5つの場面
- お腹がパンパンに張っている
- 何度も嘔吐している
- 吐いたものが茶色や臭う
- 意識がぼんやりしている
- 尿が24時間以上出ていない
このような場面では、迷わず119番を。
様子を見るときの安心行動
そのままにして良い場合と見極め方
軽い便秘や排尿の違和感だけなら
いつもの下剤で落ち着く、排尿はできている、という場合は経過観察でもよいケースもあります。ただし、「いつもと違う感じ」があるときは、医療者に相談を。
水分と体調の観察を丁寧に
食事がとれているか、熱がないか、口が乾いていないか、などをこまめに見ましょう。
記録とメモが強い味方になる
・最後の排便・排尿の時間
・吐いた回数と内容
・服薬状況と水分摂取量
これらをメモしておくと、医師への説明がとてもスムーズになります。
救急要請時に伝えるべきこと
スムーズな対応のために
・便の状態(何日出ていないか)
・嘔吐の内容と回数
・現在の意識状態や発熱の有無
・持病や服薬内容
救急隊や医師が状況を正しく把握できるよう、できる範囲で情報を準備しておきましょう。
まとめ:この症状は見逃さないで
便秘と嘔吐を軽く見てはいけません。見た目には元気そうでも、急変のリスクが潜んでいることもあります。特に高齢者の場合、体のサインが出にくく、気づいたときには進行していることもあります。
✅ チェックリスト
- 便秘と嘔吐の組み合わせ
- 腹部の張りと嘔吐の繰り返し
- 吐いたものの臭いや色
- 尿が出ない、血尿がある
- 意識や表情が「いつもと違う」
少しでも迷ったときは、「まだ大丈夫」ではなく、「今確認しよう」と思える自分を大切にしてください。
このページをブックマークしておけば、いつでも確認できます。
いざという時の安心のために、ぜひ保存しておいてください。
不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。
あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。