「呼吸が変かも…」その違和感、見逃さないで
夜の静けさの中、患者さんの娘さんから電話が入りました。
「お母さんの呼吸が、なんだかおかしい気がして…」
私は回復期病棟の看護師として、こんな相談を何度も受けてきました。
特に夜間は、家族も1人で抱え込みやすく、「これって大丈夫?」という不安の見極め方に迷います。
この記事では、呼吸の異変に気づいたときに使える7つの判断基準を、わかりやすく紹介します。
「こんなとき、どうすればいい?」と迷う介護初心者の方にも、安心して読んでいただける構成にしています。
呼吸の異変を見極める7つの視点
「なんとなく息苦しそう」
「顔色がちょっと変かも…」
そう感じたとき、医療者はどこを見て判断しているのか。そのポイントを、やさしい言葉でご紹介します。
呼吸が浅い、または速い
落ち着いて見えても、1分間に20回以上呼吸していたら注意が必要です。
逆に、8回以下のゆっくりすぎる呼吸も危険信号です。
▶︎ 観察ポイント:
・胸の上下が浅くて早い
・口元が乾いている、息が弱々しい
呼吸音がゼーゼー、ヒューヒューする
喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる音は、気道が狭くなっているサイン。
音が強くなっていたり、新たに聞こえる場合は、医療機関への連絡を検討しましょう。
▶︎ 観察ポイント:
・聴診器なしで音が聞こえる
・息を吸うときに音が強い
顔色や指先が青白い
唇や爪が青白いのは、「チアノーゼ」と呼ばれる状態。
これは血液中の酸素が足りていないときに現れる、非常に重要なサインです。
▶︎ 観察ポイント:
・顔色が青白い、灰色っぽい
・指先や唇の色がいつもと違う
会話が短く、続かない
「こんにちは」「疲れました」などの短い文が言えない、途中で息を継ぐ必要がある場合は、呼吸に負担がかかっています。
▶︎ 確認方法:
「今日はどうでしたか?」と聞いてみて、会話がスムーズかをチェックしてみましょう。
姿勢が不自然に前かがみ
呼吸がつらいとき、人は自然と「三脚位(さんきゃくい)」という姿勢になります。
肘を机について前かがみになるなど、息をしやすい姿勢を取ろうとします。
▶︎ 観察ポイント:
・いつもと違う座り方をしている
・肩を上げて呼吸している
咳き込みや、むせるような咳
咳が止まらず、顔を赤くしていたり、息継ぎができない様子があるときは、誤嚥や気道閉塞のリスクもあります。
▶︎ 観察ポイント:
・咳の合間に会話ができない
・水分や食べ物を口にした直後に咳が出る
ぼんやりしていて反応が薄い
呼吸が足りていないと、脳にも酸素が届かず、意識がぼんやりします。
「返事が遅い」「いつもより静か」など、家族が気づける変化があります。
▶︎ 観察ポイント:
・名前を呼んでも反応が遅い
・会話が噛み合わない
救急車を呼ぶべき5つのケース
「いつまで様子を見るか」と「すぐ呼ぶべきか」——判断に迷ったとき、以下のようなサインがあれば、ためらわず119番するのがおすすめです。
1. 呼吸が止まっている、または意識がない
胸が動かず、呼吸が確認できない。呼びかけても反応がない場合は、直ちに通報を。
2. 唇や指先が青くなっている
チアノーゼは深刻な酸素不足のサイン。速やかな処置が必要です。
3. 胸の痛みと冷や汗がある
心筋梗塞や肺塞栓など、心臓・肺の緊急疾患の可能性があります。
4. 会話ができない、反応が鈍い
酸素が脳に届いていないと、言葉が出なくなったり、判断力が低下します。
5. 「これはまずい」と直感で感じたとき
介護を続けていると、普段との違いを肌感覚で察知できる瞬間があります。その違和感、大事にしてください。
救急車を呼ぶとき、何を伝える?
救急隊が現場に到着してすぐに処置できるかは、「どれだけ情報がそろっているか」によって変わります。
1. 呼吸状態をそのまま伝える
例)「息が浅くて速いです」「唇が青くなっています」など
抽象的ではなく、「見たまま」を短く正確に。
2. 既往歴や服薬情報を事前にメモしておく
・現在の病名
・飲んでいる薬
・アレルギーの有無
これらをA4一枚にまとめて冷蔵庫などに貼っておくと、誰が対応しても伝えられます。
3. 分からないことは正直に伝えてOK
「どう説明すればいいか分からなくて…」という気持ちがあって当然です。
「なんとなくいつもと違う」「はじめての症状で心配」と言えば十分伝わります。
まとめ:迷ったときのチェックリスト
呼吸の異常を疑うときの7つの視点
- 呼吸が速い/浅い
- 呼吸音が聞こえる
- 顔色や唇が青白い
- 姿勢が前かがみになっている
- 咳が止まらず話せない
- 会話が短く、切れる
- 反応が鈍い、ぼんやりしている
すぐ救急車を呼ぶべき5つのサイン
- 呼吸が止まっている/反応がない
- チアノーゼ(青い唇・指先)
- 胸の痛み+冷や汗
- 会話・反応がない
- 直感的に「危ない」と感じたとき
安心のために備えておきたいこと
- 救急相談番号(#7119など)をメモ
- 呼吸・意識の変化を記録できるメモ帳
- 医療情報のシートを作成し冷蔵庫に貼る
- 家族と一緒に「10分だけのシミュレーション」
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