鼻腔吸引の入れすぎで出血…防ぐ6つの工夫

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「鼻にカテーテルを入れすぎて、血が出てしまって…」
そんな不安そうな声を、訪問看護で何度となく聞いてきました。

鼻腔吸引は、慣れないうちはとても怖く感じる処置です。
でも、ちょっとした工夫や視点の変化で、“怖い”から“安心”へと変わることも多いのです。

この記事では、鼻腔吸引中に出血を起こさないために、現場で効果があった6つの具体的な工夫をご紹介します。
「難しい」「怖い」「正解がわからない」そんな声に、看護師の立場からそっとお応えします。


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吸引前に押さえておきたい基本

正しい準備が安心につながる

吸引器の準備と体勢づくりで、ケアの半分は決まります。

  • 吸引器・カテーテル・手袋・滅菌水などをそろえる
  • 吸引圧は80〜120mmHgが目安
  • ベッド上で頭をやや後方に傾け、鼻腔がまっすぐになるよう調整

「少し鼻の中をきれいにしますね」と伝えるだけでも、ご本人の安心感は変わります。


カテーテルの角度と深さに注意

挿入時は鼻の底をなぞるように、まっすぐやさしく

  • 深さは成人で8〜10cmが目安(個人差あり)
  • 挿入時は吸引をかけず、引き抜くときに吸引する

少しでも抵抗を感じたら、無理せず引き戻す判断も大切です。


吸引時間は短く、回数でカバー

1回10〜15秒以内が安全の目安です。

  • 吸引は短く区切って数回に分けるのがおすすめ
  • 強く吸いすぎず、やさしい圧で行うことが粘膜保護につながります

出血を防ぐための6つの工夫

①「押し込まない」意識を持つ

力任せに挿入しないだけで、出血リスクは大きく下がります。

②表情と動きの変化を見逃さない

顔をしかめる、身体がピクッと動く…そんなサインに気づいたら、
**「すぐに中断→深さを調整」**が正解です。


③カテーテルは使い捨てを徹底する

再利用は感染だけでなく、素材の劣化による摩擦傷の原因になります。

④挿入しながら吸引しない

吸引は、カテーテルを引き出すときのみ
挿入と吸引を同時にすると、粘膜への負担が一気に増します。


⑤出血が見えたら「その日はお休み」

少量の血が混ざっていたら、いったん吸引を中止し、鼻を休ませましょう。
不安がある場合は、訪問看護師や主治医に相談するのがおすすめです。

⑥吸引後の鼻腔ケアも忘れずに

  • ガーゼや綿棒で鼻の周りをやさしく拭き取る
  • 必要に応じて生理食塩水で保湿ケア

小さなケアの積み重ねが、「痛くない吸引」につながります。


ケアの質を高める視点

鼻腔吸引は「見えないからこそ難しい」

口の中と違い、鼻腔は構造が複雑で、見えない不安が大きい場所です。
「何度も経験するうちに慣れるもの」と言われても、最初はやっぱり怖い。

そんなときは、“1手順だけ丁寧にやる”と決めることが、第一歩になります。


反応を「見る・聴く・感じる」

  • 表情の変化
  • 呼吸音の変化
  • 体のこわばり

こうした微細な反応を観察する力が、実は最も大切な技術です。


「うまくできなかった日」も記録に残す

「この日は出血した」「今日はスムーズだった」
どんな経験も、ケアの財産になります。

感じたことや気づいたことを、メモに書き留めておくと、
次の訪問看護のときに一緒に振り返る材料になります。


まとめ:鼻腔吸引は「丁寧さ」がすべて

鼻腔吸引に「完璧」は求めなくて大丈夫です。
大切なのは、ご本人の様子を見ながら、無理のない範囲で行うこと


✅ 出血を防ぐための6つの工夫(再掲)

  • 必要物品と体勢を整える
  • 挿入は浅く・やさしく・ゆっくり
  • 吸引は引き抜き時に短く行う
  • ご本人の反応を観察して中止判断も
  • 出血が見えたらその日は休む
  • 鼻腔内の清潔・保湿ケアも忘れずに

鼻腔吸引に対する不安が、少しでも軽くなりますように。
もしこの記事が参考になったと感じたら、SNSでのシェアやご感想をお寄せくださいね。

あなたの経験が、次の誰かの安心につながります。

鼻から吸引

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