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きちんと向き合いたい このままでいいのか迷っている もっとラクに考えたい 一人で抱えるのは限界 何かを変えたいと思っている 家族の中で孤立している 後悔したくない 情報が足りなくて不安 本人の気持ちを優先したい 決めなきゃいけないけど決められない 疲れていることに気づかれたくない 相手を大切にしたいけど自分も大事にしたい 自分の気持ちに向き合いたい 話しづらい空気を感じている 認知症対応に限界を感じている 誰かに背中を押してほしい 誰にも相談できないまま抱えている
- 経鼻経管栄養(=経鼻栄養)をやめたいときの整理のしかた
- やめるタイミングを決める判断軸(チェックリスト)
- 後悔しないために医師へ確認しておきたい質問
「もう無理かもしれないんです。」
これは、はじめて耳にした言葉ではありません。介護者が、うつむきながら、絞り出すように言ったその一言。お父さんは数か月前から経鼻経管栄養を受けており、娘さんはすべての手順を丁寧に守っていました。でも、彼女の表情には疲労と迷いが滲んでいました。
経鼻経管栄養をやめたいけれど、タイミングも方法も分からない——そんな状態から抜け出すために書きました。
この記事は、そうした「まだ決断できない」あなたに向けたものです。
夜中に「経管栄養 やめたい 方法」と検索しているあなた。何を知りたいのか、はっきりとは分からなくても、心のどこかで「このままでいいのか」と感じているあなたへ。
私は回復期病棟の看護師として、何人ものご家族がこの岐路に立つのを見てきました。この記事では、実際にご家族が選んだ7つの選択肢をお伝えします。医学書に載っている理論ではなく、日々の現場から生まれた、迷いと愛に満ちた「リアルな選択肢」です。
やめるのが「悪」じゃないと気づけたら
経鼻経管栄養を続けることが、現実的に難しくなる瞬間があります。自己嫌悪に陥る必要はありません。多くの方が、その壁にぶつかっています。
あるご家族はこう話してくれました。 「止めたら裏切りみたいで。でも続けてたら、私が壊れてしまう気がするんです。」
これは失敗ではなく、介護がいかに複雑な選択を求めるかを物語っています。
まずは、「なぜ続けるのがつらいのか」に目を向けることから始めましょう。
単なる身体的な疲れではない
介護の負担は、体力だけでなく「心のエネルギー」もすり減らします。医療の知識がないまま、医療者と同じ役割を日々担うことは、誰にとっても重圧です。
現場では、「疲れた」と言えない空気があります。でも、私は何度も見てきました。疲れているのは当然なのです。むしろ、「助けて」が言える人こそが強いのだと思います。
医療的な複雑さと感情の迷子
説明は受けた。でも分かった気がしない。そんな状態で日々の判断を続けるのは、大きなストレスです。熱が出れば「私のせい?」と自問してしまうのも無理はありません。
こうした「複雑さに飲まれる状態」が続くと、冷静な判断が難しくなってきます。
気づいたときは、まず「看護師に不安を共有する」のがおすすめです。どんなに小さなことでも、聞いていいんです。
「本人は望んでいないかもしれない」と感じたら
多くのご家族が、「本当はこうしてほしくなかったんじゃないか」と悩みます。
その問いは、介護者としての優しさの証です。もし本人が話せない状態でも、その人らしさを思い出してみてください。「美味しいものを食べるのが楽しみだった」「自然が好きだった」——そうした記憶が、決断の指針になります。
経管栄養をやめるタイミングの判断軸
“やめる/続ける”は善悪ではなく、目的(何を守りたいか)と条件(安全に成り立つか)で決めます。迷ったら、次のチェック項目を医師・多職種と一緒に確認してください。
チェック項目
- □ 経口摂取がどの程度できている(量・形態・継続性)
- □ むせ・誤嚥の頻度(増えていない/対応できている)
- □ 体重や栄養状態が極端に落ちていない
- □ 脱水の兆候がない/水分摂取の見通しがある
- □ 本人の意思(推定含む)が確認できている
- □ 家族の介護力・見守り体制がある
- □ 施設/在宅の受け入れ条件が整理できている
- □ 苦痛(痰・嘔気・不眠・不穏)が強くない/緩和策がある
- □ 目的が「延命」なのか「生活」なのか「苦痛軽減」なのか整理できている
- □ 医師から“やめる場合の予測(起こりうること)”が説明されている
※チェックが多く当てはまっても「今すぐやめる」ではなく、話し合いの論点が揃った状態と考えてください。「チェックが埋まらない項目=“やめられない”ではなく、“準備が必要な論点”です。」

経管栄養に代わる、いくつかの道
もし「このまま続けるのは違う気がする」と思ったら、代わりにできることがあるかもしれません。
この章では、現場で実際に選ばれてきた3つの方向を紹介します。
※病状や基礎疾患によって最適解は変わります。この記事は判断材料の整理を目的としており、最終判断は主治医・多職種と相談して決めてください。
経口摂取への移行を考える
一部の方は、少しずつ経口摂取を再開できることがあります。たとえ少量でも、口から味を感じられることは、驚くほど大きな意味を持ちます。
「味噌汁だけでも、また飲めたら…」と話された娘さんの言葉から始まった取り組みが、患者さんの笑顔を引き出したことを今も覚えています。
まずはSTに“評価依頼”+“食形態の提案”をお願いしてみてください。
「嚥下機能の評価を依頼してみる」と安心につながります。

胃ろうや腸ろうへの切り替え
経鼻チューブに比べて、胃ろうや腸ろうは長期的な管理がしやすく、誤嚥のリスクも下がると言われています。
「毎回チューブの位置を気にするのがストレスで…」と感じている方は、医師に「胃ろうにすることで在宅ケアがどう変わるか(物品・手技・連絡頻度)」を尋ねてみてください。
「看取るケア」への切り替え
本人の病状や回復の見込みによっては、延命よりも「穏やかな時間を大切にするケア」に移行することも選択肢です。
それは「何もしない」ではなく、「痛みを和らげ、心穏やかに過ごせる環境を整える」積極的なケアです。
経管栄養の「卒業」は可能?できる条件と難しいケース
- 卒業できる=経口摂取が安定し、栄養・水分・安全が成り立つ状態
- 難しいケース=嚥下が戻らない/誤嚥が重い/意識・認知で安全が保てない など
- でも「卒業できない=何もできない」ではない(苦痛軽減・目的整理)
経管栄養はいつまで続く?目安は「状態」+「目的」
- 期限は人で違う
- 目安は「目的が達成されたか/目的が変わったか」
- だから“いつまで”の答えは「再評価のタイミング」を作ること
医師に聞くときの質問リスト
- 「今の経管栄養の目的は何ですか?(栄養?脱水予防?一時的な橋渡し?)」
- 「やめた場合に起こりうる変化は?(短期/中期)」
- 「苦痛が出た場合の対策は?(痰、嘔気、不安、不眠など)」
- 「経口摂取へ移すなら、どこまでを目標にしますか?」
- 「在宅/施設で必要な条件は何ですか?」
- 「いつ、何を見て再評価しますか?(目安の期間)」
ご家族の選択を支えた3つの視点
何を選べばいいのか分からない——そんなときにこそ、大切にしたい問いがあります。
問い直すことで見えるもの
「やめるべきか?」ではなく、 「本人にとって何が大切か?」「自分は何を後悔しそうか?」と問いかけてみてください。
こうした問いは、決して答えを押し付けるものではありません。迷いに寄り添う、優しい道しるべです。
「やめる」は「手放すこと」ではなく「選び直すこと」
「やめる=見捨てる」と感じてしまうのは当然です。でも、本当に大切なのは「どんなケアがその人にふさわしいか」を選び直すことです。
ある選択を手放すことで、気持ちが楽になったご家族も多くいらっしゃいます。
「自分に許可を出せた瞬間」
「もう、やめてもいいのかもしれない」と口に出した瞬間。そこで初めて、本当の意味での「自分らしい介護」が始まることもあります。
誰かに「やめていいよ」と言ってもらうのを待つより、自分が自分に許可を出せたとき、介護は新しいかたちに変わります。
最後に伝えたい7つのこと
- 疲れていることを、恥ずかしがらなくていい
- 迷っているのは、愛している証
- 「やめる」は「見捨てる」ではない
- 本人の声を思い出すことがヒントになる
- 看護師やケアマネに、もっと頼っていい
- 選ぶことは、愛を形にすること
- あなたは、もう十分に頑張っている
✅ あなたの気持ち整理チェックリスト
- □ 経口摂取やPEGの可能性は確認した?
- □ 続ける・やめる、それぞれのメリットとデメリットを整理できた?
- □ 本人が何を望んでいたか、思い出せる?
- □ 不安を誰かに話してみた?
- □ 「看取るケア」も選択肢として考えてみた?
- □ 自分の疲れや限界に気づけている?
- □ 一人で抱え込んでいない?
もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの道しるべになれたら嬉しいです。
そして、もしこの記事が「私のことだ」と感じたなら、ぜひ誰かにシェアしてください。
あなたの経験が、誰かの「背中を押す言葉」になるかもしれません。
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不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。
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あなたのケアの一歩が、明日の安心につながりますように。
- 経管栄養をやめるタイミングは、何を見て判断しますか?
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目安は「経口摂取の安定」「誤嚥リスク」「栄養・水分が保てるか」「本人の意思」「介護体制」の5点です。迷ったら、主治医・看護師・ST/栄養士と一緒にチェックリスト形式で確認すると判断がぶれにくくなります。
- 経管栄養をやめると、急に弱ったり、亡くなる可能性はありますか?
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可能性はあります。ただし「やめたから即そうなる」と決まっているわけではなく、元の病状・体力・水分や摂取状況・感染などの影響が重なります。主治医に「やめた場合に起こりうる変化(短期/中期)」と「苦痛が出た時の対応」を先に確認しておくと安心です。
- 経管栄養をやめたあと、苦しむことはありますか?
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状況によっては、痰が増える・口の渇き・不安・眠れないなどが出ることがあります。一方で、チューブ刺激や拘束が減って落ち着く人もいます。心配な点は「出そうな症状」と「対処(薬・ケア)」を主治医に具体的に確認しておくのがおすすめです。
- 「経管栄養の卒業」はできますか?
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できますが条件があります。経口摂取が“その場だけ”ではなく継続できて、栄養と水分が保てて、誤嚥のリスクが管理できる状態が目安です。ST評価や食形態の調整が重要なので、「卒業を目指す場合の段どり」を相談すると現実的に進められます。
- 施設(病院・老健・特養)に「やめるのは難しい」と言われたらどうしたらいい?
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まずは理由を分解します。多くは①安全(誤嚥・急変)②体制(見守り)③受け入れ基準(医療依存度)のどれかです。「どの条件が満たせれば可能になるか」「代替案はあるか」を具体的に質問すると、対立ではなく調整に進みやすくなります。
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-
「推定意思」と「最善利益」の考え方で整理します。普段の価値観(食べることへのこだわり、延命への考え、苦痛への許容)や、これまでの言動・家族の理解を材料にします。迷う場合は、医師・看護師・MSWを交えて話し合いの場を作ると整理しやすいです。
- 経鼻経管栄養をやめると余命は短くなりますか?
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一概には言えません。「やめたこと」単独ではなく、元の病状・体力・水分摂取・感染などが重なって経過が決まります。大切なのは、やめた場合に起こりうる変化(短期/中期)と、苦痛が出たときの対策を主治医と事前に共有することです。
- 医師にどう切り出せばいいですか?
-
率直で大丈夫です。例えば
「延命を否定したいのではなく、本人の苦痛と生活を優先して考えたいです。やめた場合の見通しと、選択肢を教えてください」
と伝えると、話が建設的に進みやすいです。 - 経鼻(鼻から)と胃ろうで、やめ方や考え方は違いますか?
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目的は同じでも、身体への負担や管理方法、抜去リスクなどが異なります。どちらでも「目的の確認→リスクの見立て→代替案→再評価」が基本です。自宅・施設での管理のしやすさも含めて主治医と相談してください。
- 経管栄養を続けるか迷うとき、家族の中で意見が割れたら?
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「何を守りたいか(命/苦痛/生活/本人の価値観)」を先に揃えると合意しやすいです。結論を急がず、主治医から見通しを聞いた上で、家族の優先順位を言語化してから決めるのがおすすめです。
- いまは結論が出せません。まず何から始めればいいですか?
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まずは①目的の確認(何のための経管栄養か)②現状の整理(摂取・誤嚥・栄養・体力)③主治医に聞く質問リストの準備、の3つで十分です。「やめる/続ける」は二択ではなく、段階的に調整できることも多いです。







