高齢者のアルブミンを上げる食事6選|上がらない理由と看護師の現場知識
「ちゃんと食べているのに、どうしてアルブミンが上がらないんでしょうか?」
ある日、90代の患者さんの娘さんが、検査結果を見ながら私に尋ねてきました。ごはんもおかずも残さず食べている。それなのに「低栄養」「褥瘡リスク」と言われ、戸惑う気持ちはよくわかります。
私は回復期リハビリテーション病棟で7年以上働いてきた看護師です。アルブミン値に悩む家族を何人も見てきた中でわかったことがあります。アルブミンが上がらない理由は「食事の量」だけではありません。たんぱく質・カロリー・体の炎症状態の3つを同時に見ることが改善の鍵です。
アルブミンを上げるには「たんぱく質+十分なカロリー+炎症・疾患の確認」がセットです。食事だけで上がらないこともあります。この記事では、家族ができる6つの工夫と、医療者に確認したいポイントを整理します。
アルブミンとは何か?数値が低いと何が起きるのか
アルブミンとは、血液中に含まれるたんぱく質の一種で、体の栄養状態を示す指標です。基準値はおおむね3.8〜5.3g/dLとされており、3.5g/dLを下回ると「低栄養状態」と判断されます。
アルブミンが低下すると、以下のリスクが高まります。
- 褥瘡(床ずれ)が治りにくくなる
- 筋力・体力が落ちやすくなる
- 免疫力が低下し感染症にかかりやすくなる
- 骨折後の回復が遅れる
- むくみ(浮腫)が起きやすくなる
骨折とアルブミン低下の関係については、こちらの記事も参考にしてください。

アルブミンが上がらない3つの理由:食事だけの問題ではない
「量は食べているのに、なぜ低栄養?」という疑問はもっともです。実は、アルブミンが上がらない理由は食事だけではありません。
- 理由① たんぱく質・カロリーの絶対量が足りていない:高齢者は胃腸機能の低下により、見た目には「食べている」ようでも実際の吸収量が少ないことがあります。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、高齢者でも体重1kgあたり1.0g程度のたんぱく質が必要とされています。
- 理由② 炎症・感染症がある:体内に炎症があると、肝臓でのアルブミン合成が抑制されます。食事を増やしても、炎症がある限り数値は上がりにくい状態になります。
- 理由③ 肝機能・腎機能の影響:アルブミンは肝臓で作られるため、肝機能が低下していると合成量が減ります。また脱水や水分バランスの変化で「見かけの数値」がぶれることもあります。
- 炎症反応(CRP値)が高くないか
- 肝機能・腎機能の数値に問題がないか
- むくみ(浮腫)が数値に影響していないか
- 現在の食事内容でたんぱく質量が足りているか、管理栄養士に確認できるか
たんぱく質不足に気づかない落とし穴:野菜中心食の盲点
ある患者さんのご家族は、体に良いと思って煮物や野菜たっぷりの食事を用意していました。ところが検査ではアルブミンが2.7g/dLと低下しており、「これ以上下がると褥瘡のリスクが高くなる」と医師から説明を受けました。
栄養バランスを重視するあまり、低カロリー・低たんぱくな食事になっていたのです。たんぱく質や脂質は「控える」よりも「意識的に補う」ことが必要です。卵・豆腐・チーズ・ツナ缶など、エネルギーとたんぱく質を多く含む食材を少量でも取り入れることが改善の第一歩です。
高齢者の食欲低下に効く工夫:量より回数と質で補う
加齢により食欲が減るのは自然なことです。唾液の分泌量や胃の動きの低下、味覚・嗅覚の変化も影響しています。「一日3食をきちんと食べる」ことが難しい場合は、一回の量を少なくして回数を増やすことが有効です。
- 10時と15時に栄養ゼリーや小さなおにぎりを追加する
- 夕食後にヨーグルトで「追加たんぱく質」を補う
- 本人が「食べやすい時間帯」を把握してその時間に栄養密度の高いものを出す
食欲低下への対応についてはこちらの記事も参考にしてください。

「お菓子しか食べない」は正解かも?エネルギー優先の考え方
「お菓子ばかり食べて困るんです」と相談されることは多いです。ですが、体重が減っている・アルブミンが低いという状況では、まず「食べられるものを優先する」考え方が重要です。
プリンやアイスクリームはエネルギーがあり口当たりが良いため食が進みやすい食品です。栄養補助として取り入れる際は、甘味とたんぱく質が同時に取れるもの(高たんぱくプリン・ミルクセーキ風飲料など)を選ぶとより効果的です。「完璧な食事」より「食べられる食事」を優先することが、アルブミン改善への現実的なアプローチです。
栄養補助食品の選び方:1ヶ月でアルブミンが改善した実例
「できれば自然な食事で」と考えるのは当然ですが、現実にはそれが難しいこともあります。そんなときは栄養補助食品の活用を検討してください。
市販の栄養補助飲料には、1本で200〜400kcal・たんぱく質10g以上含まれるものもあります。ある患者さんは昼食後に栄養補助飲料を飲むようにしたことで、1ヶ月でアルブミンが0.3g/dL改善しました。医師や管理栄養士に相談しながら、続けやすい製品を選びましょう。
食事を「楽しみ」にする環境づくり:食欲は気持ちから変わる
食事は栄養補給の手段であると同時に、生活の中の楽しみでもあります。「食べなければ」という義務感が強くなると、かえって食欲が落ちることがあります。
- 家族や孫と一緒に食べる時間を作る
- 懐かしい料理や好物を週1回取り入れる
- 好きな音楽をかけながら食べる
- 盛り付けを少し工夫して「おいしそう」と感じてもらう
「おいしいね」と言える時間が、自然と”もう一口”へとつながります。食欲は気持ちと環境から変わります。

アルブミンが改善したら次のステップ:退院後の活動と生きがいへ
栄養状態が整ってきたら、次は活動量と生きがいを増やすフェーズです。体を動かすことはアルブミン値の維持にも直結します。退院後の生活再建に役立つ活動についてはこちらをご覧ください。

まとめ:アルブミン改善の6つの工夫
高齢者のアルブミン値を上げるには、「ただ食べる量を増やせばいい」という単純な話ではありません。本人の食欲・好み・身体の状態に合わせた、現実的で続けやすい工夫が必要です。
- ✅ 栄養は見た目ではなく「たんぱく質量とカロリー」で判断する
- ✅ 野菜中心に偏りすぎず、卵・豆腐・チーズ・ツナを意識的に加える
- ✅ 食べられるタイミングを探し、少量・多回数で補う
- ✅ お菓子も「エネルギー補助」と捉え、高たんぱくのものを選ぶ
- ✅ 栄養補助食品は「選択肢の一つ」として取り入れる
- ✅ 食事を楽しみにする環境づくりで食欲そのものを引き出す
アルブミン値は、身体の状態を映すサインです。できることを少しずつ試していくことで、改善のきっかけは必ず見つかります。
あなたのご家族が「また食べてみようかな」と思える時間が、少しずつ増えていきますように。
- アルブミンを増やすには何を食べればいい?
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卵・豆腐・魚・チーズ・ツナ缶など、たんぱく質を多く含む食材を毎食1品以上取り入れることが基本です。同時にカロリー不足にならないよう、ご飯・パン・いも類などのエネルギー源も確保してください。少量しか食べられない場合は、高たんぱくの栄養補助食品を活用する方法もあります。
- たんぱく質だけ増やしても上がらない?
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はい、たんぱく質だけでは不十分なことがあります。体内にエネルギーが足りていないと、摂取したたんぱく質がエネルギーとして使われてしまいアルブミン合成に回りません。また炎症・感染症・肝機能低下がある場合も、食事を増やしても数値が上がりにくい状態になります。主治医に「アルブミンが上がらない原因」を確認してみることをおすすめします。
- どれくらいで変化が出る?
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一般的に食事改善の効果が血液検査に現れるまで、数週間〜1ヶ月程度かかることが多いです。ただし炎症や疾患がある場合はそれ以上かかることもあります。月1回程度の血液検査で数値を確認しながら、主治医・管理栄養士と連携して調整していくことが理想的です。
- 受診の目安は?
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食欲の急激な低下、2週間以上続く体重減少、足や顔のむくみ(浮腫)、発熱や倦怠感が続く場合は早めに受診してください。アルブミン値が3.0g/dLを下回っている場合は、食事改善だけでは対応が難しいケースもあるため、医師に相談して点滴や経腸栄養なども含めた治療方針を確認することをおすすめします。
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