吸引が怖いあなたへ送る7の工夫

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

※在宅での吸引に不安を感じたときに読んでほしい


怖くて手が動かない夜に

「吸引しなきゃいけないのに、もし傷つけたらと思うと怖くて……」

そう打ち明けてくれたのは、お母さんを自宅で介護していた娘さん。退院前に説明は受けたはずなのに、いざ吸引を始めようとすると手が震えて止まったそうです。

もし、あなたも「在宅 吸引 不安 対処法」などと検索してこの記事にたどり着いたのなら、それは「誰かを大切に思っている証拠」です。そして、同じように怖さと向き合っている人が他にもいることを、どうか覚えていてください。

このページでは、回復期病棟で日々在宅移行支援をしている看護師の視点から、「吸引が怖い」と感じたときに試してみてほしい、現実的な7つの工夫をご紹介します。


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怖さの正体に気づく

なぜ、吸引はこんなに不安になるのか?

吸引への不安の多くは、「失敗したらどうしよう」という責任感からきています。呼吸に関わる行為だからこそ、「自分のせいで何かあったら」と思うと、自然と手がすくむものです。

「もし傷つけたら」「吸いすぎたら」——その不安は、むしろあなたが真剣に向き合っている証です。

どんな背景が、不安を強めている?

  • 自分のやり方が正しいか自信がない
  • 急を要する場面へのプレッシャー
  • 過去に失敗した記憶
  • 一人で責任を背負っている状態

不安は、あなたの優しさから生まれています。「失敗しないこと」より、「逃げずに向き合っていること」が何よりも尊いのです。


安心できる準備を習慣に

不安を減らす環境づくりとは?

吸引は、「慣れ」や「手順の確認」でずいぶん違ってきます。以下のような環境を整えてみましょう。

  • 手袋やカテーテルなどをワンセットにまとめておく
  • 緊急連絡先を見える場所に貼っておく
  • 吸引前に、手を洗って深呼吸する時間をつくる

こうした「ルーティン」が、心を落ち着かせる助けになります。

習慣が不安をやわらげる理由

決まった動作があると、判断に迷わず済むようになります。人は「考えすぎる」と手が止まるので、習慣が心を守ってくれるのです。

たとえば:

  • 看護師と一緒に流れをシミュレーションしておく
  • 決まった時間帯に吸引する
  • 視覚的なチェックリストを貼っておく

こうした工夫が、「吸引は特別なこと」から「日常の一部」へと変えてくれます。


不安のピークを乗り越える

怖さで手が止まったとき、どうする?

パニックになりそうなときは、「一度、道具を置いてもいい」と自分に言ってあげてください。

おすすめの対処法:

  • 10秒数えるだけでも、呼吸が整います
  • 「落ち着いて大丈夫」と声に出すだけで、気持ちが変わります
  • 4秒吸って、6秒吐く呼吸を2回くり返してみましょう

焦らず、今の自分を受け止めること。それが、安全な吸引への第一歩です。

夜間など、ひとりでの対応が不安なときは?

  • 寝室に手順のメモを貼っておく
  • 懐中電灯とティッシュはワンセットにしておく
  • 予備の吸引器を確認しておく
  • 訪問看護師や医師の番号を、スマホに登録しておく

「備えている」という事実だけでも、安心感につながります。


自信は少しずつ育てるもの

自分を信じるにはどうしたらいい?

介護では、「不安の中でもやってみた」という経験が最大の自信になります。

完璧じゃなくていいのです。「怖い」と感じながらも続けている今のあなたは、もう立派な実践者です。

小さな記録が、次の勇気になる

  • 「うまくできたこと」をメモしておく
  • カテーテルの挿入感や咳の変化を記録する
  • 訪問看護師に「大丈夫でしたか?」と確認する
  • 「今日も逃げなかった自分」を心の中で褒める

自己肯定感が上がると、不安は自然と和らぎます。


視点を変えるだけで、怖さはやさしさに

吸引を「ケア」として捉え直す

「また吸引しなきゃ……」ではなく、「この一手間で、呼吸がラクになる」と思ってみてください。

  • 呼吸音が静かになる
  • 苦しそうな表情が和らぐ
  • 夜、ぐっすり眠れる

そうした姿をイメージすると、「怖い手技」ではなく、「支えたい気持ち」に自然と切り替わります。

他の人の声に、勇気をもらう

  • 介護コミュニティのSNSで同じ経験を読む
  • 家族向けの吸引動画を観る
  • 訪問看護師と雑談しながら悩みを聞いてもらう

「私だけじゃない」と思えることが、最大の安心材料です。


まとめ:できた、じゃなく「向き合えた」が一番大切

吸引は、誰だって怖いです。でも、怖くても「やってみよう」と思った、その気持ちこそが一番大切です。

7つの工夫:

  1. 怖さの正体に気づく
  2. 整った環境を準備する
  3. 不安時の対処法を持つ
  4. 緊急時の備えを見直す
  5. 習慣化で心の負担を減らす
  6. 成功体験を積み上げる
  7. 吸引=ケアという視点に変える

「怖い」と感じたとき、この中から1つだけでも思い出してみてください。

あなたが今日も向き合っていること。それだけで、十分に尊いことなのです。

吸引

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