認知症「帰りたい」 5つの対応策|施設での寄り添い方

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著者について
  • 看護師6年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「認知症の母が、施設に入ってから『家に帰りたい』とばかり言うようになり、どうすればいいのか困っています…どうして、そんなに帰りたいと言うのでしょうか?」

「施設に入所している父が『帰りたい』と言い出した時、施設ではどのように対応してくれるのでしょうか? 家族として、何かできることはありますか?」

「施設に入所している認知症の親が、『帰りたい』と言うたびに心が痛みます…。少しでも親の気持ちを和らげてあげる方法を知りたいです。」

もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、この記事はきっとお役に立てるでしょう。

認知症の方の「家に帰りたい」という気持ちは、介護者にとって大きな悩みの一つです。

この記事では、その心理的な背景から、施設での対応、そして、家族であるキーパーソンができることまで、5つの対応策にまとめて解説します。

この記事を通して、認知症の方の「帰りたい」という気持ちを理解し、少しでも安心して過ごせるように、共に考えていきましょう。

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1. 認知症で「帰りたい」なぜ? その心理

認知症の親が「家に帰りたい」と言う時、それは、不安や混乱、寂しさなど、様々な感情が複雑に絡み合っているサインかもしれません。

認知症が進むと、見慣れない場所や新しい環境に戸惑い、自分の居場所が分からなくなることがあります。そのため、昔の家や、慣れ親しんだ場所に帰りたいという気持ちが強くなるのでしょう。また、施設での生活に慣れず、不安や寂しさを感じている場合もあります。

  • 施設を自分の家ではないと認識して、落ち着かない様子を見せる。
  • 昔住んでいた家や、懐かしい場所を思い出して、その場所に行きたがっている。
  • 見慣れない環境に不安を感じて、どうしたら良いか分からなくなっている。
  • 寂しさや孤独感から、誰かに会いたい、家に帰りたいという気持ちが強くなっている。
  • 施設での生活に馴染めず、自分の居場所がないと感じている。

認知症の「帰りたい」という気持ちは、様々な感情が入り混じったサインであることを理解しました。

2. 「帰りたい」サイン、見逃さないで

認知症の親が「家に帰りたい」という気持ちを表すサインは、言葉だけではありません。行動や表情にも注意を払い、早めに気づいてあげることが大切です。

認知症の親は、言葉でうまく気持ちを伝えられない場合もあります。そのため、日頃から行動や表情の変化に気を配り、サインを見逃さないようにすることが、適切な対応につながります。

  • 落ち着かずに、そわそわと歩き回る回数が増えた。
  • いつもより、ドアや窓に近づいて、外を気にしていることが多い。
  • 荷物をまとめたり、外出の準備をするようなそぶりを見せることがある。
  • 「家に帰りたい」と何度も言ったり、訴えたりする。
  • 以前と比べて、表情が暗く、元気がないように見える。
  • 食欲が低下したり、眠れなくなったりするなど、体調の変化が見られる。

「帰りたい」という気持ちは、言葉だけでなく、行動や表情にも現れるため、日頃から注意深く観察することが大切だと感じました。

3. 施設での対応、職員との連携が鍵

施設での「帰りたい」という訴えへの対応は、施設職員の方々と協力して行うことが大切です。

施設では、介護の専門家である職員の方々が、認知症の親のケアを行ってくれますが、親のことを一番良く知っているのは、私たち家族です。施設と家族が情報を共有し、連携を密にすることで、より適切な対応をすることができます。

  • 施設の職員の方に、親の普段の様子や、過去の生活、性格などを細かく伝える。
  • 施設での過ごし方や、特に「帰りたい」と言いやすい時間帯などを、職員の方と共有する。
  • 職員の方々と協力して、親が安心して過ごせるような環境づくりを考える。
  • 施設での対応について、職員の方々と頻繁に相談し、連携を密にする。

施設での対応は、施設職員と家族が連携して行うことが重要であることを学びました。

4. 「帰りたい」気持ちを和らげる、2つの方法

「家に帰りたい」という気持ちを完全に無くすことは難しいかもしれませんが、工夫することで、親の気持ちを和らげ、落ち着かせてあげることができます

認知症の親の「帰りたい」という気持ちは、過去の記憶や感情と深く結びついているため、その気持ちに寄り添いながら、気をそらすことが有効な場合があります。

  • 過去の思い出、故郷の話題を提供する: 親が昔、楽しかったことや、故郷の思い出について、じっくりと話を聞いたり、一緒に写真を見たりすることで、気持ちを落ち着かせてあげましょう。
  • 興味を引きつけ、気をそらす: 親の好きな音楽をかけたり、一緒に散歩に誘ったり、他の活動に意識を向けることで、気をそらしてみましょう。

「帰りたい」という気持ちを和らげるには、過去の思い出に寄り添ったり、他のことに意識を向けたりすることが有効だと分かりました。

5. キーパーソンができること、3つのサポート

施設に入所した後も、家族であるキーパーソンとして、親を支えるためにできることはたくさんあります

施設では、介護の専門家がケアをしてくれますが、親にとって家族は、何よりも安心できる存在です。施設の方々と連携しながら、親の気持ちに寄り添い、サポートしていくことが大切です。

  • 施設訪問時に安心できる言葉をかける、一緒の時間を楽しむ: 施設を訪問した際には、「会いに来たよ」「元気だった?」など、親が安心できる言葉をかけ、一緒に楽しい時間を過ごしてあげましょう。
  • 本人の好きなもの、思い出の品を施設に持ち込む: 親の好きな食べ物や、愛用していた物などを施設に持ち込むことで、少しでも安心して過ごせるようにサポートしましょう。
  • 施設スタッフと情報共有し、連携を密にする: 施設職員の方々と、親の様子について情報交換をし、密に連携をとることで、より良いケアにつながります。

施設に入所した後も、キーパーソンである家族が親を支え、寄り添うことが大切だと改めて感じました。

2つめに提示している、ご本人になじみのあるものを持ち込むのはとてもおすすめです。
時計、カレンダーなど、日時や場所を認識するものもおすすめです。

医療従事者として、キーパーソンの皆様にご協力いただきたいのは、
帰りたい気持ちは当たり前のことだと受け止めることです。
なぜここにいるのかわからない、なぜ自分の家に帰ってはいけないのかわからない状態で、見知らぬ人たちに「帰れない」と言われても、戸惑うのは当然のことです。なんとしてでも帰ろうとするのは当たり前です。

いわゆる帰宅願望と私たちは言うのですが、彼らが帰ろうとするのには理由があるんです。
特に女性では、「子供にご飯を作らないといけない」「子供に命の危険が迫っている」など子供さんが理由のことが多いように思います。

家に帰りたい。それは決して病気がさせる思考ではありません。
わたしは、都度都度、ご本人にとって「ここにいる理由」を見つけていくのが最善のように思っています。

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