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認知症の徘徊・一人歩きを防ぐ5つの対策|原因と家族の対応【看護師解説】

突然いなくなる!?

認知症の徘徊・一人歩きを防ぐ5つの対策|原因と家族の対応【看護師解説】

「目を離したすきにいなくなっていた」「夜中に玄関の音がして飛び起きた」「近所を何十分も探し回った」——認知症の「一人歩き(徘徊)」は、家族にとって最も恐怖を感じるBPSDの一つです。

でも、一人歩きには必ず「理由」があります。その理由を知ることが、対策の第一歩です。

私は回復期リハビリテーション病棟で7年以上働いてきた看護師です。退院後に一人歩きで困っている家族を何人も見てきました。そして、理由に合わせた対策を取ることで、一人歩きは必ず減らすことができます。

なお、「徘徊」という言葉は近年「一人歩き」への言い換えが推奨されています。この記事では両方の言葉を使いながら、検索で探している方にも届くよう解説していきます。

著者について
  • 看護師8年目
  • 退院支援・ご家族との面談を多数担当
  • 正解のない選択に、何度も立ち会ってきた
  • 父、祖母の介護・看取りを家族として経験
現場で
見てきたことを書いています。
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認知症の徘徊(一人歩き)が起きる4つの原因

一人歩きには、必ず本人なりの「目的」があります。主な原因は以下の4つです。

  • 原因① 帰宅願望:「家に帰らなければ」という感覚。施設や病院にいる方に多く、「ここは自分のいる場所ではない」という不安から生じる
  • 原因② 過去の習慣の再現:「仕事に行かなければ」「子どもを迎えに行かなければ」など、現役時代の習慣が蘇ってくる
  • 原因③ 身体的な不快感:便意・尿意・痛み・かゆみなど、言葉で伝えられない不快感が「動き回る」という行動として出る
  • 原因④ 昼夜逆転・睡眠障害:夜中に目が覚めて、時間の感覚が混乱し外に出ようとする

「なぜ今このタイミングで?」と感じたら、この4つの原因と照らし合わせることが最初のアクションです。

対策①:一人歩きのパターンを「記録」して原因を特定する

まず取り組んでほしいのが、一人歩きが起きる時間帯・状況・直前の出来事の記録です。1〜2週間記録するだけで、「夕方4時頃に多い」「食後に起きやすい」などのパターンが見えてきます。

パターンがわかれば、その時間帯に先手を打てます。記録はメモ帳でも、スマホのメモアプリでも構いません。「いつ・何があったか」の2点だけで十分です。

対策②:「出口をふさぐ」より「出たくない理由を作る」

玄関に鍵をかける、センサーをつける——こうした物理的な制限は有効ですが、それだけでは本人の「出たい」という欲求は消えません。むしろ閉じ込められた感覚がBPSDを悪化させることもあります。

並行して大切なのが、「ここにいたい」と思える環境を作ることです。好きな音楽を流す、なじみのある写真を飾る、好きなおやつを用意する——「今ここが安心できる場所だ」と感じられると、外に出ようとする衝動が和らぎます。

対策③:夕方の「先手ルーティン」を作る

一人歩きは夕方に多く起きます(「夕暮れ症候群」とも呼ばれます)。この時間帯に合わせて、本人が好きな活動を組み込んだルーティンを先手で作ることが有効です。

  • 夕方4時になったら一緒にお茶を飲む
  • 好きなテレビ番組をつける
  • 簡単な家事(野菜をちぎる、洗い物を拭くなど)を一緒にする

「何かすること」があると、「出かけなければ」という衝動が起きにくくなります。

対策④:GPSや見守りサービスを「予防」として導入する

一人歩きが始まってから慌てて探すのではなく、「まだ大丈夫」という段階からGPSを導入しておくことを強く勧めます。

現在は小型で服やカバンに装着できるGPS端末が数多く販売されており、月額数百円〜1,000円程度のサービスもあります。自治体によっては「徘徊高齢者位置情報サービス」として助成金が出る場合もあるため、地域包括支援センターに確認してみてください。

また市区町村の「高齢者見守りサービス」への登録も、万が一のときの発見を早める有効な手段です。

対策⑤:近隣・地域との「顔つなぎ」をしておく

一人歩きを完全に防ぐことは難しいため、「もし外に出てしまっても、地域が見守っている」状態を作ることが最大の安全策です。

近所のコンビニや商店に「うちの父がこういう状態で、もし見かけたら連絡ください」と写真付きで伝えておく。民生委員や自治会に状況を共有しておく。こうした「顔つなぎ」が、いざというときの発見を格段に早めます。

「知られたくない」という気持ちはわかります。でも、地域に知ってもらうことは、本人の安全を守る最大の手段の一つです。

徘徊・一人歩きと深く関係する「帰りたい」という訴えへの対応

一人歩きの多くは「家に帰りたい」という帰宅願望と連動しています。「帰りたい」という訴えへの具体的な対応はこちらをご覧ください。

一人歩きへの対応で疲弊しているなら:介護者自身のケアも忘れずに

夜中の外出に何度も対応していると、介護者自身が睡眠不足と極度の緊張状態に陥ります。あなた自身が倒れることが最大のリスクです。限界を感じたときの逃げ道はこちらをご覧ください。

BPSDの全体像を理解してから各症状に対応しよう

徘徊・一人歩きはBPSDの症状の一つです。暴言・妄想など他の症状とあわせてBPSD全体を理解しておくと、対応の引き出しが増えます。

まとめ:一人歩きは「徘徊」ではなく「目的のある行動」

5つの対策をまとめます。

  • ① 一人歩きのパターンを記録して原因を特定する
  • ② 「出口をふさぐ」より「出たくない理由を作る」
  • ③ 夕方の「先手ルーティン」を作る
  • ④ GPSや見守りサービスを予防として導入する
  • ⑤ 近隣・地域との「顔つなぎ」をしておく

一人歩きは「困った行動」ではなく、本人が何かを伝えようとしているサインです。その理由に向き合うことが、最も効果的な対策になります。

毎日緊張しながら見守り続けているあなたの苦労は、決して無駄ではありません。

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