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認知症の暴言に限界なあなたへ|原因と4つの対応策【看護師解説】

暴言は脳と感情のSOS

認知症の暴言に限界なあなたへ|原因と4つの対応策【看護師解説】

「死ね」「出て行け」「お前なんか知らない」——自分が懸命に介護している相手から、そんな言葉をぶつけられた経験はありませんか?

頭ではわかっていても、心は傷つく。「もう限界かもしれない」と感じるのは、あなたが弱いからではありません。それだけ真剣に向き合ってきた証拠です。

私は回復期リハビリテーション病棟で7年以上働いてきた看護師です。認知症の暴言に苦しむ家族を何百人も見てきました。そして、暴言には必ず「理由」があり、対応を変えることで必ず落ち着かせることができます。

この記事では、暴言の原因・やってはいけないNG対応・今日から使えるOK対応の4つをお伝えします。

著者について
  • 看護師8年目
  • 退院支援・ご家族との面談を多数担当
  • 正解のない選択に、何度も立ち会ってきた
  • 父、祖母の介護・看取りを家族として経験
現場で
見てきたことを書いています。
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認知症の暴言が起きる原因:「性格」ではなく「脳と感情」の問題

認知症の暴言は、性格が悪くなったわけでも、あなたのことが嫌いになったわけでもありません。主な原因は以下の3つです。

  • 前頭葉の機能低下:感情をコントロールする脳の部位が傷つき、怒りや不安をそのまま言葉にしてしまう
  • 満たされていない欲求:痛み・不快感・空腹・孤独など、言葉で伝えられない不満が暴言として出る
  • プライドと自尊心の傷つき:できないことを指摘されたり、子ども扱いされたと感じたときに防衛反応として怒りが出る

この3つを理解するだけで、「私への怒りではなく、脳と感情の症状だ」と受け取れるようになり、心のダメージが少し和らぎます。

認知症の暴言:やってはいけないNG対応3つ

まず、やってしまいがちだけれど逆効果になる対応を知っておきましょう。

  • NGワード①「違います」「そんなことない」:否定は本人の不安と怒りを倍増させます
  • NGワード②「さっきも言いましたよね」:記憶障害がある方への指摘は混乱と羞恥心を招きます
  • NGワード③「なんでそんなことを言うの!」:感情的な反論は興奮をエスカレートさせます

これらは「言ってしまった経験がある」という方がほとんどです。責める必要はありません。知らなかっただけです。今日から変えていきましょう。

言ってしまった言葉は戻ってきません。後悔しつづけるよりも、一言「あの時はごめんね」と謝ってみましょう。それだけで違いますよ。

暴言対応策①:「そうですね」とまず同意してその場の空気を変える

暴言が始まったとき、最初にすることは「同意」です。内容の正誤は関係ありません。「そうですね」「それは辛かったですね」と言うだけで、本人の興奮が一段落ちます。

これは「嘘をつく」ことではなく、「相手の感情を受け取った」というサインを送ることです。感情が受け取られたと感じると、人は次第に落ち着きます。

暴言対応策②:声のトーンを下げ・ゆっくり・短い言葉で話す

興奮しているときに早口で長い説明をすると、内容は伝わらず興奮だけが伝染します。声のトーンをワントーン落とし、ゆっくりと、一文を短く区切って話しかけてください。

具体例:「お父さん、大丈夫ですよ。(間)ここは安全な場所です。(間)一緒にいますよ。」

声のトーンと間(ま)が、言葉の内容より先に脳に届きます。

暴言対応策③:「好きなこと・なじみのもの」で気持ちを切り替える

説得や説明で暴言を止めようとするより、気分転換の方がはるかに効果的です。本人が好きな音楽をかける、昔よく飲んでいたお茶を出す、好きなテレビ番組をつける——感情の記憶は認知症になっても残りやすいため、なじみのものへの反応は良好なことが多いです。

「論理で解決しない」と割り切ることが、BPSDへの対応の大前提です。BPSDの全体像についてはこちらもご覧ください。

暴言対応策④:限界を感じたら「その場を離れる」を自分に許可する

どんなに対応を工夫しても、心が追いつかない瞬間は必ず来ます。そのときは、「その場を離れること」を自分に許可してください。

「ちょっとお茶を入れてきますね」と言ってその場を離れるだけで、場の空気がリセットされ、本人の興奮が自然に落ち着くことがあります。逃げることは正しい対応です。あなたが感情的になってしまう前に離れることが、本人にとっても最善です。

認知症の暴言で心が折れそうなときの「自分を守る方法」

暴言を受け続けることは、介護者の心に深刻なダメージを与えます。「もう限界」と感じたときに使える逃げ道をまとめた記事もあわせてご覧ください。

同じことを繰り返す・記憶障害との関係も理解しておこう

暴言の背景には、短期記憶の障害が深く関わっています。「さっき言ったのに」と感じる場面が多い方は、記憶障害への対応もあわせて理解しておくと、暴言への対応がさらにスムーズになります。

まとめ:暴言は「あなたへの怒り」ではなく「脳と感情のSOS」

認知症の暴言への4つの対応策をまとめます。

  • ① 「そうですね」とまず同意してその場の空気を変える
  • ② 声のトーンを下げ・ゆっくり・短い言葉で話す
  • ③ 「好きなこと・なじみのもの」で気持ちを切り替える
  • ④ 限界を感じたらその場を離れることを自分に許可する

暴言を受けるたびに傷ついているあなたの心は、正常な反応です。傷つかない人間などいません。

それでも向き合い続けているあなたは、十分すぎるほど頑張っています。

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