骨密度が急落した患者に効いた“転ばない身体”の運動5選

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「骨密度が下がっているので、転倒には十分注意してくださいね。」

回復期病棟で勤務する中、80代女性のAさんと出会いました。彼女は自宅で転倒し、幸い骨折はありませんでしたが、検査の結果、骨密度が著しく低下していることが分かりました。

それ以降、Aさんは「また転んだらどうしよう」という不安から、歩くことすら避けるようになってしまいました。ですが、周囲の支援とご本人の小さな努力が重なり、“転ばない身体”を目指す取り組みを始めました。その成果として、彼女は自信を取り戻し、再び廊下を歩けるようになったのです。

この記事では、

  • 骨密度の低下と転倒リスクの関係
  • バランス感覚を鍛える重要性
  • 自宅でも無理なく続けられる、転倒予防に有効な5つの運動

についてお伝えします。

「骨密度を上げる運動ってどんなもの?」「今の自分でもできる?」そんな不安を感じている方に向けて、無理なく始められる方法をご紹介します。

ぜひ、ご自身やご家族の転倒予防に役立ててください。SNSでのシェアやコメントもお待ちしています。


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転倒を防ぐにはバランスが大切

骨密度と転倒の関係

骨密度が低下すると、骨折のリスクが高まることはよく知られています。実際、高齢の患者さんが日常のちょっとした動作──たとえば椅子から立ち上がる、ベッドから降りる、トイレに立つ──などで転倒し、大腿骨や手首を骨折する事例は多く見られます。

骨折が引き金となり、そのまま寝たきりの状態に移行してしまうこともあります。このような事態を防ぐためには、「転ばない身体をつくる」ことが非常に重要です。

バランス感覚を鍛えることは、骨折予防に効果的であるとされています。たとえば、厚生労働省が公開している健康寿命延伸施策の資料によれば、バランス能力の向上によって転倒リスクを減らす可能性があると報告されています(健康日本21より)。

バランス能力は年齢に関係なく高められる

「年齢を重ねるとバランス感覚は衰えるだけ」と思われがちですが、実際には意識してトレーニングすることで改善が可能です。

特に、激しい運動が難しい高齢者にとって、無理のないバランス訓練は取り入れやすく、継続しやすいのが特長です。

現場では、「まっすぐ立っているつもりなのに、左右に重心が偏っている」方が多く見られます。こうしたバランスの乱れは、ちょっとしたきっかけで転倒に繋がります。

鏡の前で片足立ちを試すなど、身近な動作から始めるだけでも、意識と感覚に変化が現れます。

いま、自分の重心はどこにあるか?

と問いかけることが、転倒予防への第一歩になります。


骨密度が低下した患者の実例

不安から歩くことを拒否したAさん

Aさんは、軽度の転倒をきっかけに入院されました。骨折はなかったものの、検査で骨密度の著しい低下が判明し、医師からは転倒回避の重要性を強く指摘されました。

その結果、Aさんは「また転んだらどうしよう」と強い不安に陥り、トイレにも行かず、ベッド上で生活するようになりました。

しかし、ある日からリハビリスタッフと“椅子に座る練習”を始めたことで、少しずつ前向きな姿勢が見られるようになりました。

「座るだけなら、私にもできるかも」

その一言をきっかけに、彼女は少しずつ身体を動かすことに挑戦するようになり、ついには歩行訓練にも積極的に取り組めるようになったのです。

自宅でもできる5つの運動

1. 壁を支えにした片足立ち

壁や机に手を添えて、左右それぞれ10秒ずつ片足で立つ練習。バランス能力と体幹の強化につながります。最初は5秒からでも十分です。

2. ゆっくり行うスクワット

椅子の背に手を添えながら、浅めのスクワットを行います。太ももやお尻の筋肉を刺激し、立ち上がる力を維持します。回数は1日5回から始めてみましょう。

3. つま先立ちでの歩行

室内で安全な場所を選び、つま先立ちで3〜5歩ほど歩きます。ふくらはぎと足裏を鍛え、足元の安定性を高めます。

4. 椅子からの立ち上がり練習

背もたれ付きの椅子を使い、1日に数回、立ち座りの動作を繰り返します。体幹や足腰の筋力を自然に鍛えられます。

5. 段差の昇り降り練習

10〜15cm程度の低い段差で昇り降りの練習をします。階段が使えれば代用可能。下肢の筋力とバランス能力を強化します。


看護師として伝えたい視点

骨の強さより「倒れないこと」が大切

骨を強くすることは大切ですが、それ以上に「倒れない」ことが骨折予防には重要です。転倒の予防には、日頃からの身体の感覚や姿勢、筋肉の使い方に意識を向ける必要があります。

転ばなければ骨折もしない。この事実に気づくことが、予防の第一歩です。

運動は「自信」を取り戻す手段になる

Aさんのように、「もう無理」と感じていた方が少しずつできることを増やしていく過程は、単なる身体的な回復以上の意味を持ちます。

看護師として、運動がもたらす「自信の回復」を多く目にしてきました。できることが1つでも増えると、人は表情も姿勢も変わります。

「自分にもできることがある」——この気づきが、健康の基盤になります。


まとめ:転ばない身体をつくるために

以下は、記事のポイントをまとめたチェックリストです。

✅転倒予防チェックリスト

  • 骨密度の低下=転倒時の骨折リスク上昇
  • バランス感覚は年齢に関係なく鍛えられる
  • 激しい運動が難しくても、簡単な動作で改善できる
  • 「倒れない」身体づくりが最大の骨折予防
  • 継続可能な5つの運動から1つでも始めてみる
  • 運動は筋力だけでなく“自信”も育てる

無理のない範囲から、生活の中に取り入れていくことが継続のコツです。

記事を読んで「これならできそう」と思えたものがあれば、ぜひ今日から実践してみてください。

感想や質問、SNSでのシェアも大歓迎です。あなたの一歩が、誰かのきっかけになるかもしれません。

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