圧迫骨折でも入院不要?医師が教えてくれなかった3つの視点

その「入院」は、本当に必要ですか?

「お母さまは圧迫骨折です。しばらく入院になりますね」

そう言われたとき、付き添っていた娘さんはうなずきながらも、どこか納得のいかない様子でした。
私はその場にいた看護師として、「必ずしも入院が唯一の選択肢ではない」と感じながら、丁寧に説明を加えたことを覚えています。

この記事では、「圧迫骨折 入院必要ない 判断基準」というキーワードに込められた読者の不安に寄り添いながら、現場で感じたことや具体的な判断ポイントをお伝えします。
あなたが悩んでいる今、この情報が後悔しない選択につながるヒントになれば幸いです。


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圧迫骨折は入院が“常識”?

入院を選ぶ人が多い理由

圧迫骨折は、高齢者に多い骨粗しょう症関連の骨折です。特に背骨(脊椎)に起きやすく、転倒だけでなく、咳やくしゃみなどの日常動作でも発生します。
急性期には強い痛みが伴い、体を動かすのも困難なため、多くの医療機関では「入院による安静」が選択されます。

また、褥瘡(床ずれ)や肺炎といった二次的合併症を予防する目的でも、入院を勧められることが多いです。加えて、家族の介護体制が整っていない場合、在宅療養が現実的でないと判断されることもあります。


入院=正解とは限らない理由

ただし、すべての圧迫骨折に入院が必要かというと、そうではありません。
実際に現場では、軽症例で日常生活動作(ADL)に大きな支障がなければ、在宅療養という選択をされる方も少なくありません。

たとえば、既に訪問介護や訪問看護の支援が入っている場合、住環境や本人の意向をふまえて、必要最小限の医療を受けながら自宅で療養することも可能です。
医師の説明にすぐ従うのではなく、「本当に入院がベストなのか?」という問いを立てることが大切です。


在宅療養という選択肢

在宅療養のメリットと注意点

在宅療養は、患者さんが普段通りの生活環境で療養できるというメリットがあります。
精神的な安心感に加えて、生活のリズムを維持しやすいため、回復が早まるケースもあります。

一方で、痛みの管理や活動制限のコントロールが不十分だと、再骨折や動けなくなるリスクもあるため、医療・介護支援との連携が不可欠です。
特に初期対応としてのポジショニングや福祉用具の活用が、症状の悪化防止に効果的です。


在宅療養を支える仕組み

今は、地域包括ケアシステムの整備により、訪問看護・訪問リハビリ・福祉用具貸与など、在宅療養を支える仕組みが充実しています。
これらはすべて介護保険を通じて利用可能です(※65歳以上で要介護認定を受けている場合)。

たとえば、介護用ベッドや体圧分散マットを活用すれば、体位変換の負担も軽減できます。
痛みが強い場合は、訪問診療や在宅緩和ケアによる薬剤調整も可能です。
一人で介護するのではなく、制度やプロの力を借りる視点を持つことが大切です。


知っておきたい判断基準

入院が本当に必要か見極める3つの視点

視点1|ADL(日常生活動作)

食事・移動・トイレ・着替えなど、どの程度自分でできるかを把握することが基本です。
完全に寝たきりで介助が必要な場合は、短期的な入院加療が現実的ですが、「少し支えればできる」状態なら在宅療養も選択肢に入ります。

視点2|家族の介護力と支援体制

「誰が」「どの時間帯に」「どれだけ介助できるか」を具体的に見積もることが重要です。
訪問介護やデイサービスなど、外部支援で補えるかどうかもあわせて検討しましょう。

視点3|自宅の環境と安全性

段差の有無、トイレや寝室の動線、手すりの設置など、自宅での生活が安全に送れるかどうかがポイントです。
必要に応じて、福祉住環境コーディネーターへの相談もおすすめです。


まとめ|「どこで過ごすか」は選べる

圧迫骨折=入院、というイメージは今も根強く残っています。
けれど、情報を得て支援を使えば、本人の希望に沿った在宅療養も十分可能です。

✅判断のためのチェックリスト(再掲)

  • □ 本人のADLはある程度保たれている
  • □ 家族に一定の介護力がある、または支援を受けられる
  • □ 自宅の安全性が確保されている
  • □ 痛みのコントロールが医療的に可能
  • □ 医師と相談しながら在宅療養の選択肢を提示された

介護者の負担だけでなく、本人にとってどこが「安心できる場所」なのかを一緒に考える時間を持ちましょう。
入院と在宅、どちらを選ぶにせよ、その判断には「情報」「支援」「思いやり」が必要です。


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あなたの体験やご家族の選択も、コメントで教えていただけたら嬉しいです。

圧迫骨折

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