高齢者の骨折、入院しない選択に必要な視点5つ

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

入院は本当に必要?家族が抱える葛藤

「退院したばかりなのに、また入院って…もう家で見られませんか?」
病棟で何度となく耳にしてきた、ご家族の切実な声です。高齢者の骨折、それも圧迫骨折では入院が当たり前のように思われがちですが、本当にそれが正解なのでしょうか。

この記事では「高齢者が骨折しても、入院しない」という選択肢に焦点を当て、在宅療養の可能性と注意点について、現場での体験を交えて解説します。


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1. 在宅介護の「前向きな面」

住み慣れた空間で安心感を維持

入院により環境が大きく変わると、特に認知症の方では混乱やせん妄を引き起こすことがあります。自宅であれば、本人の生活リズムや認知機能を維持しやすくなります。

また、調査によれば[※]、高齢者の多くが「最期は自宅で迎えたい」と考えており、住み慣れた空間は精神的安定にもつながります(出典:厚生労働省「高齢者の生活実態調査」)。

家族との時間を大切にできる

入院によって距離ができてしまう家族関係。在宅介護では、声かけやふれあいの機会が増え、双方にとっての安心感につながることもあります。


2. 在宅療養で気をつけたいこと

合併症リスクへの備えが必要

圧迫骨折は動きにくくなる分、肺炎や血栓症のリスクも高まります。医療的サポートが近くにない分、訪問看護や在宅医との連携体制が欠かせません。

また、体調の急変に備えて緊急連絡先を整備し、必要なときにすぐ相談できる環境を整えておきましょう。

介護者自身の限界を見極める

私がかつて関わったAさん(60代女性)は、在宅介護に懸命に取り組むうちにご自身が体調を崩し、結局ご本人も緊急入院となりました。在宅介護は家族の協力と体力が問われるため、無理のない体制づくりが重要です。


3. 介護サービスをうまく使う

ケアマネジャーと相談してプランを立てる

介護保険を活用することで、通所リハビリ・訪問看護・訪問入浴など多様なサービスが受けられます。ケアマネジャーと話し合い、本人の状態に合ったプランを一緒に作っていきましょう。

福祉用具の導入で負担を軽減

ベッドや手すり、ポータブルトイレなど、日常生活の負担を軽減する福祉用具をうまく使うことも重要です。介護保険を使えばレンタルも可能で、費用面でも助かります。


4. 入院か在宅か、どう判断する?

医師と相談しながら家族の体制も見直す

在宅介護を選択するかどうかは、本人の病状だけでなく、「家族の支援体制」「家屋環境」「利用可能なサービス」など、複数の視点から総合的に判断する必要があります。

「続けられるかどうか」がカギ

在宅で介護を続ける上で大切なのは「今だけ」でなく「今後も続けられるかどうか」。週1回だけでもショートステイを利用するなど、定期的に息抜きを取り入れる工夫も大切です。


5. それでも迷うときは

相談できる場所はあります

地域包括支援センター、訪問看護ステーション、主治医、病院の医療相談員など、迷ったときに頼れる窓口は複数あります。「まだ在宅でやれるのか?」「もう限界なのか?」そんなときにこそ、一人で抱え込まず声を上げてください。


まとめ:入院せずに支えるために必要なこと

入院しない選択は、勇気と準備が必要です。だからこそ、以下のチェックリストで現実的な視点から確認しましょう。


✅チェックリスト

  • 家族で役割分担ができる体制がある
  • ケアマネ・地域資源と連携できている
  • 緊急時の連絡手段・往診先を確保している
  • 合併症の兆候を把握している
  • 介護者の休息を確保できる手段がある
  • 福祉用具や訪問リハビリを活用している

あなたの「不安」を「判断」に変えるために、この記事が少しでも力になればうれしいです。
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