高齢者の苦痛を減らす看護師の提案:家族が選んだ方法5選

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「治療を受けさせるのが正解なのか、それとも…。」 病院で、あるご家族がぽつりと口にした言葉が印象に残っています。

その患者さんは90代。進行した疾患に対して主治医が提案したのは、身体に負担のかかる治療でした。選択肢を示されたご家族は「良くなるためには治療が必要」という思いと、「これ以上つらい思いをさせてよいのか」という葛藤の間で揺れていました。

このブログ記事では、「高齢者にとっての治療の意味」や「QOLを大切にした選択」について、現場の看護師としての視点から、実際のケースを交えてお伝えします。

「治す」ことが正義のように語られることもありますが、看護の現場では「和らげること」や「寄り添うこと」が選ばれる場面も多いのです。

この情報が、あなたの悩みに少しでも光を差すものとなれば幸いです。


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治療の意味を問い直す

病気と向き合う方法

治療とは何のため?

医学的なアプローチは「治す」ことを目指しますが、高齢の方にとっては「生活の質を保つ」ことのほうが大切になる場合もあります。とくに加齢や持病で体力が低下している方にとっては、治療が負担になってしまうことも少なくありません。

たとえば、ある80代の患者さんは、検査上は手術が可能な状態でしたが、認知症や運動機能の低下が進んでおり、手術により在宅復帰が遠のくリスクがありました。結果として、本人・家族・医師が話し合い、痛みを緩和する治療に方針を切り替えました。

ここで重要なのは、「何をもってその人らしい生活とするか」を共有することです。


QOLを優先する視点

生活を整えるというケア

治療と日常生活のバランス

「痛みをとってあげたい」「苦しませたくない」という想いは、介護するご家族にとって切実な願いです。医療側が提供できるのは、痛みの緩和や不安の軽減、そして患者さんとご家族の意思に沿った選択肢です。

医療の現場では、QOL(Quality of Life)という概念が重視されています。たとえば、積極的な治療よりも、日々の排泄や食事、眠りの質を安定させる方が、長い目で見て「自分らしさ」を守ることにつながる場合もあります。

リハビリや在宅医療の導入、緩和ケアの利用など、選択肢は一つではありません。大切なのは、選ぶ主体が「本人と家族」であることです。


治療しないという選択肢

決断に寄り添う姿勢

医療を断ることは放棄ではない

「治療しない」と聞くと、何かを諦めるように感じてしまうかもしれません。でも、それは「無理をさせない」という優しさでもあります。

現場では、あえて検査や治療を控え、生活の質を重視するケースも多くあります。ご家族が「苦痛を避けること」を選んだとき、その判断を支えるのが医療者の役割です。

意思決定に迷うときは、主治医だけでなく、看護師、緩和ケアチーム、地域包括支援センターなど多職種に相談してみましょう。一人で抱え込まないことが、納得できる選択につながります。


まとめ:あなたの迷いを肯定します

治療を選ぶか、選ばないか。その選択は「正しい」よりも「納得できるかどうか」が大切です。

  • 治療の目的を「治す」だけに限定しない
  • QOLを重視した選択肢を知っておく
  • 本人・家族・医療者で価値観を共有する
  • 「治療しない」も積極的なケアの一つ
  • 不安や迷いは相談してよい
  • 医療者は「決断を支える人」である
  • 最後までその人らしく生きることが目標

この記事が、あなたの「悩んでいいんだ」という安心につながれば嬉しいです。

チェックリスト:あなたはこの問いに答えられますか?

  • 治療の目的は明確ですか?
  • 本人の気持ちは聞けていますか?
  • 家族間で方針にズレはありませんか?
  • 負担や不安を誰かに話せていますか?
  • 他の選択肢を医療者に相談しましたか?
高齢者の苦痛緩和

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