「お母さんの治療、どうしたらいいのか…」
病棟で、そんな声を聞くのは珍しくありません。私が関わったあるご家族は、医師からの説明を聞いた後も、「本当にこれでいいのかな」と何度もためらいながら意思決定を繰り返していました。
この記事では、回復期病棟で働く看護師としての実体験をもとに、「医療の選択に“正解”がない」と感じた場面や、ご家族の迷いを乗り越えるヒントを5つ紹介します。
「後悔したくない」「納得したい」そう願うすべてのキーパーソンに、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
治療の選択は複数ある
正解を探しすぎない
判断に「迷う」ことは自然
選択を迫られると、「間違ってはいけない」と考えがちです。でも、医学には白黒つけられないことも多くあります。回復期では、状態が安定した患者さんに対し、あえて治療を中止する選択肢が検討されることもあります。「迷う自分を責めないでください」という言葉を、私はよくご家族にお伝えします。
選択に時間をかけてよい
急性期では時間が限られていたとしても、回復期では比較的「待つ」ことが許される場面も増えてきます。焦らず、何度も話し合うことで見えてくる選択肢もあります。
家族が背負いすぎない
本人の希望を優先する
「本当はどうしたいか」を探る
患者さんが言葉でうまく表現できない場合も、表情や態度、過去の価値観にヒントがあることがあります。私たち看護師は、そんなサインを拾いながら、ご家族と一緒に考えるようにしています。
「守る」よりも「寄り添う」
ご家族は「最善を尽くす」ことを背負いがちですが、本人が望む時間や生活に寄り添うことこそが、本当の意味での“支え”になることもあります。
納得のために必要な視点
複数の意見を聞く
セカンドオピニオンは有効
ひとつの医療機関で説明に納得できない場合、他の医師の意見を聞くことは冷静な判断につながります。ご家族が医療に詳しくないのは当然のこと。だからこそ、多面的に情報を集めることが重要です。
チームで支える治療選択
医師だけでなく、看護師、リハビリスタッフ、相談員も含めて治療方針を共有できると、より具体的で実現可能な道筋が見えてきます。
情報と感情を切り分ける
医療データは参考程度に
平均値は「平均」にすぎない
たとえば「回復率」や「予後予測」はあくまで統計上の話です。現実の回復力には、生活歴やサポート体制が大きく影響します。数字に惑わされすぎず、目の前の状況を見てください。
不安は言葉に出す
「このまま寝たきりになったら…」「後悔したらどうしよう」そんな声を聞かせてください。不安を吐き出すことで、選択への道筋が整理されていくことがあります。
最終的に支えるのは「あなた」
決断に正解はない
「納得できたか」が判断の軸
選んだ道が“正解”だったかどうかより、「家族として納得できたか」の方がずっと大事です。私が関わったある家族は、「もう一度同じ状況でも同じ選択をすると思う」と話していました。
感情のゆらぎを許す
決断後に「やっぱりこうじゃなかったかも…」と思うこともあります。それは心が揺れ動く人間らしさの表れで、誰にでも起こる自然な反応です。
【まとめ】自分たちらしい答えを選ぶために
後悔しない選択をするには、「正解を求めすぎないこと」も大切です。ここまで読んでくださったあなたに、5つの視点をもう一度お伝えします。
- 正解は一つではないことを理解する
- 本人の気持ちを丁寧に汲み取る
- 複数の意見を聞くことで視野を広げる
- 感情と情報を分けて整理する
- 最終的には「納得」を判断軸にする
☑ 判断に迷ってもOK
☑ 患者さんの声に耳を傾ける
☑ チームで支える医療を活用
☑ 数字だけに頼らない
☑ 自分の感情に素直になる
小さな選択の積み重ねが、信頼や納得を育ててくれます。この記事が、あなたの心の整理に役立てば嬉しいです。SNSでのシェアやコメントも、ぜひお待ちしています。