「また赤くなってる…どうして?」
夜勤中、ある患者さんの臀部を確認したときのこと。
前日はほとんど赤みがなかったのに、朝には皮膚が真っ赤に。ただのかぶれだと思っていたのに、繰り返すほど治りにくくなっていく。
皮膚トラブルは、介護現場でもよくある悩みのひとつです。
薬を塗っても、ケアしても治らない。そんなときこそ、毎日の習慣に目を向けてみる必要があります。
この記事では、「なぜ治らないのか」「何から見直せばいいのか」を、現場の看護師が経験をもとにご紹介します。
繰り返す皮膚の赤みに悩んでいる方へ、小さな見直しが大きな改善につながるヒントになればと思います。
皮膚トラブルが続く理由を知る
原因はひとつではない
かぶれや皮膚炎の原因は、一つに絞れないことがほとんどです。
おむつやパッドの素材、交換のタイミング、清拭の強さ、排泄物の性状や頻度など、多くの要素が影響しています。
私の勤務する回復期病棟でも、「いつも通りのケアをしていたのに、なぜか悪化した」というケースは珍しくありません。
「毎日のケアが本当に今の状態に合っているか?」それを振り返るだけでも、改善のきっかけが見えてくることがあります。
見直したいケア習慣5つ
ケア用品が合っていないかもしれない
排泄物の量や肌の状態に合ったおむつやパッドを選べているか、あらためて確認することが大切です。
おむつやパッドのサイズや吸収量が適切でないと、肌が長時間湿った状態になり、かぶれの原因になります。
また、スキンケア製品の使い方にも注意が必要です。保湿剤や軟膏は、塗りすぎると通気性を妨げることもあります。少量を薄くのばす程度で十分な場合もあります。
患者さんごとに違うので、「なんとなく同じように使っている」状態を見直すことが改善への第一歩です。
清拭やおしりふきが刺激になっていないか
皮膚をきれいに保ちたい気持ちが強すぎて、つい何度も拭いたり、強くこすってしまうことがあります。
特に下痢や軟便が続いていると、拭く回数や刺激が皮膚を痛めてしまう原因になります。
また、おしりふきに含まれるアルコールや香料も刺激になることがあるため、水やぬるま湯で湿らせたガーゼの方が適している場合もあります。
「清潔=拭くこと」と思い込みがちですが、「優しく洗って、しっかり乾かす」ことの方が、皮膚を守ることにつながります。
排泄パターンの変化に気づけているか
患者さんの排泄リズムは、体調や食事、内服薬などによって日々変化します。
「いつも通り」の交換タイミングが合わなくなっていると、皮膚トラブルが増える傾向にあります。
排泄時間や量を簡単に記録してみるだけでも、「どのタイミングで皮膚が濡れていたか」「いつ悪化したか」が見えてきます。
スタッフ間で記録を共有することで、ケアの見直しがスムーズになり、再発防止にもつながります。
食事と水分補給も影響する
皮膚トラブルは、外からのケアだけでは解決しないこともあります。
たとえば脱水状態では尿が濃くなり、皮膚にとって刺激が強くなります。また、便秘や下痢もかぶれを悪化させる一因です。
食物繊維を増やしたり、乳酸菌を取り入れるなど、腸内環境を整える工夫も必要です。
「皮膚ケア=外側から」と思われがちですが、内側からのアプローチも意識してみましょう。
情報の記録と連携を意識する
皮膚の変化や使用しているケア用品、排泄状況など、日々の記録を残すことで、トラブルの早期対応がしやすくなります。
「この日から悪化した」「交換回数を増やしたら少し改善した」などの気づきは、ご本人だけでなく、家族や医療者との共有にも役立ちます。
リズムや習慣を“見える化”することが、トラブルの再発予防につながります。
まとめ:小さな見直しが大きな違いに
皮膚トラブルがなかなか治らないとき、焦って強い薬に頼る前に、日々のケアを見直すことがとても大切です。
以下のチェックリストを参考に、「今のケアが本当に合っているか?」を確認してみてください。
✅ ケア習慣チェックリスト
- おむつやパッドのサイズ、吸収力は合っていますか?
- スキンケアは、塗りすぎていませんか?
- 清拭やおしりふきの刺激が強すぎていませんか?
- 排泄のタイミングに合わせたケアができていますか?
- 食事や水分補給にも目を向けていますか?
- 記録や情報共有はできていますか?
皮膚トラブルは、「やっているつもりのケア」に見直しが必要なサインかもしれません。
肩の力を抜いて、一つずつ試してみてください。
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あなたの工夫が、誰かの助けになるかもしれません。