「もう何度も同じ説明をしてるのに、全然伝わらない…」
高齢者との会話に、そんなストレスを感じたことはありませんか?
回復期病棟で働く中で、「家ではうまくいかない」とご家族が打ち明けてくださる場面によく出会います。
ある日、「退院後の手続き」の説明をしていたとき、娘さんがため息交じりに「話が通じないって、こういうことか」とつぶやきました。
実はその“通じなさ”には、理由があります。
この記事では、私が現場で感じてきた「話がズレる7つの正体」を共有し、少しでも気持ちが軽くなるヒントをお届けします。
「通じない」の正体に目を向ける
会話の土台が違うと感じたら
高齢者の“時間軸”は過去にあることも
現在の話をしているつもりでも、返ってくる答えが10年前のことだった、というのはよくあることです。短期記憶が弱くなり、過去の経験に重きを置くようになると、会話の軸がズレて感じるのも自然なことです。
今、目の前の感覚を優先している
論理よりも、そのときの感情や身体の不快感が優先されやすくなります。計画の話をしている途中で「テレビが見えにくい」と言い出すのも、実は“気づいてほしい”サインなのかもしれません。
なぜイライラしてしまうのか
正しさを伝えるほどストレスになる
介護者としては「間違ってほしくない」気持ちで必死に伝えます。でも、高齢者側はその熱量に「責められている」と感じることがあります。「どうせ私の言うことなんて」と心を閉ざしてしまう原因になることも。
会話のゴールがずれている
私たちは「理解してもらうこと」を目的に話しますが、高齢者にとっては「安心したい」「聞いてもらいたい」ことが目的になっている場合があります。目的のズレが、すれ違いを生んでいるのです。
会話がつながる7つの視点
相手の“正しさ”を認める勇気を持つ
内容ではなく“気持ち”に寄り添う
「またその話?」と感じるときでも、「それだけ大切なことなんだ」と受け止める視点が持てると、関係は穏やかになります。「何が言いたいの?」ではなく、「なにを伝えたいんだろう?」と考えることが大切です。
正しいかどうかより“理解されている”感覚を
私たちはつい「説明」しがちですが、相手が求めているのは“納得”より“共感”かもしれません。「それ、気になりますよね」「不安になりますよね」と一言添えるだけで、場の空気は変わります。
会話に「答え」を求めない姿勢
話し合いより“話し時間”を意識してみる
うまく話がまとまらなくても、「この人は私と一緒に考えてくれている」と感じてもらえるだけで、高齢者は安心します。結論を急がない対話が、信頼の土台になります。
無駄話にも意味がある
昔話や世間話のような“寄り道”こそ、会話の潤滑油です。大切なのは、情報のやりとりよりも、「今日もこの人と話せてよかった」という感情を残すことです。
まとめ:かみ合わない会話にこそ、価値がある
- 高齢者との会話がズレるのは、加齢による変化や価値観の違いから自然に起こること。
- “伝えること”より“つながること”を意識するだけで、関係性はやわらかくなります。
- 内容を整理しすぎず、感情を汲み取ることで、お互いの理解が深まります。
- 無理に通じ合わせようとしないことが、むしろ信頼を育てる近道になるのです。
✅ チェックリスト:あなたは大丈夫?7つの見直しポイント
- 理解させることに必死になっていないか
- 相手の“言葉にならない感情”に目を向けているか
- 会話の目的が「納得」ではなく「共感」になっているか
- 無駄話を切り上げようとしていないか
- 一方的に情報を伝えていないか
- 「またその話」に疲れていないか
- 今日の会話で“笑顔”はあったか
📣 共感したら、ぜひSNSでシェアを!
コメントでの体験談やご質問も歓迎しています。あなたの声が、次の記事のヒントになります。