どうして伝わらない?現場で出会った7つの誤解と理解

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「何を言っても通じない。疲れてきた…」

そう漏らしたご家族の声が、今も耳に残っています。回復期病棟で多くの患者さんと接する中で、「会話がかみ合わない」「反応が予想外」という場面は日常茶飯事。特に在宅介護を担う家族にとって、高齢者とのコミュニケーションは“見えない壁”を感じる瞬間があるようです。

この記事では、「高齢者の話が通じない」と感じる理由を、看護師の視点から具体的なエピソードとともに解きほぐしていきます。7つの“誤解と理解”を通して、少しでも会話のストレスが和らぐようなヒントをお届けします。


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なぜ通じない?背景にある3つの視点

感情で生きる人たち

高齢者の多くは、論理よりも感情や感覚に重きを置いて日々を過ごしています。「今日は風が冷たいねぇ」から始まる話には、その日の不安や懐かしい記憶が詰まっているかもしれません。看護の現場でも「その話、今?」と感じることはありますが、実はその一言に大切な気持ちが込められている場合も多いのです。

言語化する力の低下

加齢により「考えること」と「話すこと」のタイムラグが大きくなっていきます。頭の中では伝えたいことがあるのに、言葉にできず、何度も言い直したり話が飛んだりするのです。それを「意味不明」と切り捨てるのではなく、伝えようとしている努力に気づくことが第一歩です。

会話の目的が違う

介護者は「情報を整理したい」「結論が知りたい」と思っていても、高齢者は「気持ちを聞いてほしい」だけということも。会話のゴールがすれ違っていると、当然ながら“通じない”感覚が強くなります。目的の違いを知るだけで、少し気持ちが楽になるかもしれません。


介護者が抱きやすい誤解とそのほぐし方

「ちゃんと話して」が逆効果に

正確な情報がほしいから「要点だけ話して」と言ってしまう。でも、それが相手にとっては“聞いてもらえない”という感覚を残してしまいます。特に高齢者は「どうせ聞いてくれない」と思い込みやすく、ますます心を閉ざしてしまうことも。

✔ 提案:

「そう感じたんですね」と、一度気持ちを受け止めることが、対話の土台を築きます。

否定表現に敏感になりやすい

「それは違うよ」「またその話?」という一言が、相手には否定に聞こえることも。言葉選び一つで、会話が閉ざされてしまうリスクがあるのです。

✔ 提案:

「そうなんですね」「そう思われたんですね」と共感的に返すだけで、関係は変わります。

介護者自身が疲れているとき

イライラしたり、冷静に聞けなかったり。それはあなたが悪いのではなく、“疲れているサイン”です。まずは自分自身の心の余裕に目を向けてみましょう。

✔ 提案:

「今日だけは聞き役をやめる」と決めて休む日をつくることも、重要なセルフケアです。


“伝わらなさ”をほぐす実践的ヒント

観察力を使う

言葉以外にも、表情、仕草、視線、声のトーンには多くの情報が詰まっています。笑っていても目が笑っていない、ということはよくあります。いつもと違う動きに気づけるのは、あなたが日々関わっているからこそです。

感情を読み取る姿勢

「寒かったのか」「不安だったのか」と、話の裏側にある感情に名前をつけることで、相手も気づかなかった“本音”が浮かび上がることがあります。

過去の経験を理解する

「昔はどうだったのか」を聞くと、今の価値観や行動の背景が見えてくることがあります。過去をたどることで、目の前の言葉の意味が深くなります。


まとめ:理解の一歩は、誤解から始まる

「話が通じない」という悩みの裏には、次のような“ヒント”が隠れています:

  • 高齢者は感覚・感情を重視して話している
  • 言葉にできない思いがある前提で関わる
  • 会話の目的が異なることを理解する
  • 否定よりも共感の表現が信頼をつくる
  • 自分自身のコンディションにも目を向ける

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