「辞めていいですか?」に私が答えた10の言葉

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「もう介護を続けるのは無理かもしれない」

病室の外で、ふとこぼれたご家族のつぶやきに、私は足を止めました。
それは初めての言葉ではありません。
でも、その一言が口から出るまでには、長くて苦しい時間があったことを私は知っています。

介護を続けるなかで、「辞めたい」と感じるのは自然なことです。
けれど、そう思う自分を責めてしまう方が多くいます。
まるで、その気持ちすら「間違い」のように。

この記事では、そんな想いに寄り添うために、
回復期病棟で出会ったご家族の声をもとに、私がこれまでかけてきた言葉の中から、
とくに大切にしている“10の言葉”をお届けします。

誰かの「もう限界です」が、安心して言葉にできる世の中でありますように。


介護をやめたくなるのは、ごく自然な反応です

「辞めたい」と感じる背景には、慢性的な疲労、責任感、孤独感があります。
一人で何役もこなし続けていれば、どこかで心が音を立てても不思議ではありません。

それでも多くの方は、「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込みます。
けれど、限界を認めることは逃げではなく、状況を見直すための大切なサインです。

他人と比べなくていい

「自分より大変な人もいる」と思ってしまう気持ちはよくわかります。
ですが、つらさは人それぞれです。
誰かと比較して、つらさを否定してしまうと、自分の本音を見失ってしまいます。

本当に大切なのは、「私はどう感じているか」。
今の気持ちに、耳を澄ませてみてください。


正解は、誰かが決めるものではありません

介護において「こうすべき」という考えに縛られてしまう方は少なくありません。
けれど、その“べき論”が心を追い詰めることもあります。

介護のあり方に、ひとつの正解はありません。
その時、その人、その環境によって、必要な支援のかたちは変わります。

「やめたい」は、自分を守るための気持ち

「もう無理かもしれない」と感じたとき、それはあなたの心が発するSOSです。
疲れていることを誰かに話すだけでも、気持ちはずっと軽くなります。

勇気を出して声にしたその瞬間から、
あなたの状況は変わりはじめます。


家族関係が変わることもあります

介護をやめる決断が、家族の関係を壊すのではないかと不安に思う方も多いでしょう。
けれど、実際には関係が改善した例も多くあります。

支える人の表情が穏やかになると、
支えられる側にも、その安心感は自然と伝わります。

本人の変化にもつながることがあります

介護者が無理をしていると、本人もそれを感じ取ってしまいます。
逆に、介護者がゆとりを持って関わるようになると、
本人の穏やかな表情が戻ってくることもあります。

“やめる”という選択が、
新しい関係を築くきっかけになることもあるのです。


相談することから始めましょう

「辞めたい」と思ったとき、すぐに決断する必要はありません。
まずは、誰かに相談してみることから始めてみてください。

たとえば、ケアマネジャーや病院スタッフに、
「最近ちょっとしんどくて…」と話すだけでも構いません。

そこから支援の形が変わっていくことも、実際に多くあります。

少しずつ役割を分けていく

介護はひとりで抱えるものではありません。
訪問介護、デイサービス、ショートステイなど、
必要な部分だけ外部に頼るという方法もあります。

「全部任せるのは気が引ける」と感じている方こそ、
“部分的なお願い”からスタートしてみてください。


あなたが元気でいることが、最良の支えです

介護を続けるには、支える人が元気であることが何より大切です。
あなたの健康や気持ちの安定が、
ご本人の安心にも直結します。

自分をいたわることは、
決してわがままではありません。


まとめ:限界を伝えることは、支えを呼び込む一歩です

✓「辞めたい」と思うのは自然な反応です
✓ その声を誰かに伝えることで、支援が始まります
✓ 正解は自分の中にあると信じてください
✓ 介護のかたちは一つではありません
✓ 自分の時間を持つことも、支援の一部です
✓ 支える側の安定は、本人の笑顔に直結します
✓ 相談は、選択肢を広げる第一歩です


あなたの声が、誰かの希望になるかもしれません

この記事を読んでくださって、ありがとうございます。
もし「少し気が楽になった」と感じたら、
その気持ちを、誰かにも届けてみませんか?

SNSでのシェアやコメントは、
同じように悩んでいる誰かの背中をそっと押す一歩になるかもしれません。

やめたい

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