「私が冷たいだけ?」そう悩んだ介護者へ伝えたい8つのこと

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「また怒っちゃった…私って冷たい人間なのかもしれない」
介護中にそうつぶやいたのは、小学生のお子さんを育てながら義父を在宅で介護していたミキさんでした。

ある日、義父の食事中にお茶を何度もこぼされ、
思わず「何度言ったらわかるの!」と声を荒げてしまったそうです。
そのあと、泣いて謝る義父を見て、自分が嫌になり、夜中に涙が止まらなかったと話してくれました。

「愛情はあるんです。でも、余裕がないと優しくなれないんです。」

——もしあなたも、同じような気持ちでこの記事にたどり着いたなら、それはあなたがまっすぐ向き合おうとしている証拠です。

この記事では、
・「感情があふれてしまう理由」
・「それでもあなたが冷たくない理由」
・「感情とどう向き合えばいいのか」
という3つの視点から、現場の看護師としての経験を交えつつ、
“心の揺れ”にやさしく光をあてる8つのヒントをお伝えします。

「介護 感情 コントロールできない」と検索したあなたにとって、
この記事が安心の足がかりになることを願っています。

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感情があふれるのは自然なこと

介護中に怒ってしまうとき

つい声を荒げてしまったあと、「またやってしまった」と自己嫌悪に陥ることはありませんか?

介護の現場では、同じことの繰り返しや、思い通りにいかない状況が当たり前のように続きます。
これは、心身ともに疲れているときほど、感情の揺れを強く引き出してしまいます。

私がこれまでお会いしたご家族の中にも、「優しくしたいのにできない」と涙ぐまれる方がたくさんいました。
それは、冷たさではなく、「自分なりに大切にしたい」という想いの裏返しです。

怒りは、無理を重ねた心の警報です。
まずはそのサインに気づくことから、心の整理が始まります。


「冷たいかも」と思ってしまうとき

「家族に対して冷たいのではないか」と自分を責めたことはありませんか?

この言葉の背景には、「もっと優しくしなきゃいけない」「できて当たり前」といった強い自己期待が潜んでいることがよくあります。
でも、人は感情の波から完全に自由にはなれません。

冷たくなりたい人は、そもそも悩まないものです。
あなたが「優しくありたい」と思っているからこそ、そう感じてしまうのです。

その心の揺れは、大切にしたい気持ちの証拠だと受け止めてみませんか?


感情を抑えることで起きる変化

「怒りを抑えること」が目的になっていませんか?
抑え込んだ感情は、必ずどこかであふれ出します。

ある方は、毎日“平気なふり”を続けた結果、夜中に涙が止まらなくなりました。
それは、感情を我慢し続けた心からのSOSでした。

また、ストレスによって体に現れる影響も見逃せません。
慢性的なストレスは睡眠や集中力、免疫力に影響を与え、身体面にも不調を及ぼします

感情を無理に抑えるのではなく、気づき、扱い方を学ぶことが大切です。
その変化は、小さな気づきから始められます。


冷たいという感情の正体を知る

他人の声が自分を縛っていることも

「冷たい」と思ったその感情は、本当に自分の声でしょうか?

看護の現場では、「家族に冷たいと思われそうで言えない」という声をよく耳にします。
しかし、その“冷たさ”は、他者の視線や固定観念から生まれていることが多いのです。

「介護は家族の義務」「手を抜いたらかわいそう」——そんな無意識のプレッシャーが、
感情と行動のズレを生みます。

あなたの声を、一度立ち止まって見つめ直してみてください。
きっと、もっと優しくて現実的な選択肢が見えてくるはずです。


怒ること=悪いことではない

怒るという行動には、何かを大切にしているサインが含まれていることもあります。

たとえば、「もっと安全に過ごしてほしい」「自分の時間も少しほしい」——
そうした気持ちが伝わらず、怒りとして表出することがあります。

「怒る自分=冷たい」と結びつけてしまうと、必要な訴えまで否定してしまいます。
でも実は、怒るからこそ伝わる想いがあるのです。

怒りを責めるのではなく、その奥にある「守りたいもの」を見つけてあげること
それが、自分自身を理解する大きな手がかりになります。


自己嫌悪をほどく視点

「こんな自分はもうダメかもしれない」と思ったことがある方へ。

まず、感情はコントロール対象ではありません。
正解・不正解を決めるのではなく、そのまま認めてあげることから始めてみましょう。

私が関わったご家族も、「最低な自分」と言いながら、
誰よりもお相手のことを想って動いていました。

その矛盾こそが、介護に向き合う人のリアルです。
だからこそ、「今日は疲れてた」と気づくだけでも、自分を守る行為になるのです。


感情を受け入れる準備を整える

言葉にすることで見えてくるもの

「私はこう感じていた」と言葉にすることは、心の整理に繋がります。

日記やメモなど、思ったことを外に出すだけでも、
不思議と自分の気持ちが見えてきます。

感情は頭の中で回しているだけだと、どんどん絡まっていきます。
だからこそ、アウトプットの習慣を持つことが有効です。

また、話すことでラクになる方も多いです。
「話しても大丈夫な人」と出会えたら、ぜひその存在に頼ってみてください。


「余白」が心のクッションになる

「ちゃんとしなきゃ」が頭を占めていると、自分へのハードルがどんどん高くなります。

でも実際には、「今日はコンビニ弁当でいい」「返事は明日にする」など、
ほんの少しのゆるさが、感情の波を穏やかにしてくれます。

また、介護サービスの導入も、「自分を保つ支援」として積極的に使ってよいものです。
「冷たい」ではなく「適切に役割を分けている」と再定義してみてください。

感情が揺れるときほど、心に余白をつくる選択肢を忘れずに。


正直な気持ちが、未来を変える

本音を押し込めるのではなく、そのまま大切に扱うこと

これは、介護だけでなく人間関係全般においても、
あなた自身を守る姿勢となります。

感情に正直な人ほど、柔らかく周囲とつながれる
それは、私が看護師として実感してきた“現場の温度”です。


まとめ:冷たくない。むしろ、優しさの証かもしれない

もしあなたが「冷たいかも」と感じているなら、
それは誰かを大切にしたい気持ちが、うまく表現できないことに苦しんでいるからかもしれません。

感情があふれること、優しくできない日があること、
そのすべてがあなたの人間らしさであり、冷たさの証拠ではありません。


✅ チェックリスト

  • 「また怒った」と思ったとき、自分を責めていませんか?
  • 感情を抑えることが最善だと信じ込んでいませんか?
  • 自分の「本音」に向き合う時間をつくれていますか?
  • 介護の役割を“チーム”として見直せていますか?
  • 他人の視線ではなく、自分の気持ちを軸にできていますか?

あなたがこのページを閉じるとき、
「冷たさ」という言葉が、ほんの少しだけ優しく響くようになっていたら幸いです。

SNSでのシェアや、あなたの気持ちのコメントをお待ちしています。
それが、どこかの誰かの“気づき”になるかもしれません。

疲れた女性

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