壊れそうだった彼女に伝えた7つの言葉

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「もう、壊れそうです……」
リハビリ病棟の面談室で、アキさんは静かにそうつぶやきました。

母親の介護を一人で担い続け、仕事も削って、睡眠時間も減らし、心の余裕はすでに限界。
けれど、誰にも「助けて」と言えなかった彼女がようやく漏らしたその一言は、看護師として私の胸にも強く残りました。

介護の現場で「もう無理」と感じている方は決して少なくありません。
けれど、その声は表に出にくく、表情や態度の変化から察するしかないことも多いのです。

この記事では、
・壊れそうな感情を抱えるのは、決して異常ではないこと
・「逃げたい」衝動が自然なサインであること
・少し立ち止まるだけで、再び歩き出せること

この3つを軸に、現場での会話をもとにした**“7つの言葉”**をお届けします。
壊れそうなあなたへ、今すぐ届いてほしい言葉です。


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限界を迎える前にできること

介護は完璧じゃなくていい

「全部自分でやらなきゃ」——そんな思い込みに、いつから縛られていたのでしょうか?

介護は、正解がない日々の積み重ねです。
だからこそ、「100点」を目指すと、どんどん心が追い詰められていきます。

「完璧にやらなきゃ」は危険信号

介護疲れは、責任感の強い人ほど深刻化しやすいもの。
「誰にも迷惑をかけたくない」「プロじゃないからこそ完璧に」という気持ちが、心の疲れに拍車をかけます。

日々の食事、排泄介助、通院サポート、すべてに気を配るのは無理があるのです。
70点でOKと思えることが、長く続けるコツ

「このくらいでいいか」と思える判断力は、介護において立派なスキルなのです。


限界は“心の通知表”

「自分だけが弱いんじゃないか」と思ったことはありませんか?

でも実は、“もう無理かもしれない”という感情は、心からの大切なサインです。

「逃げたい」気持ちは壊れる前の合図

医学的にも、強いストレスによる感情反応(不安・涙・怒り)は、精神的な“限界”を示す警告として機能します。
つまり、壊れそうな感覚は、あなたの心がまだ自分を守ろうとしている証。

それを「弱さ」と誤解して、自分にムチを打ち続けると、本当に壊れてしまうこともあります。
限界を感じたときこそ、立ち止まっていい。
むしろ、それが最初の“回復のサイン”になるのです。


「壊れそう」の予兆を見逃さない

「前は我慢できたのに、最近はすぐ涙が出る」「何もしてないのに、怒りがこみ上げてくる」——
それは、心が悲鳴を上げているサインかもしれません。

小さな違和感は早めに拾う

実際の現場でも、「最近眠れない」「味がしない」など身体の変化を訴えた方の多くが、介護うつの予兆を抱えていました。
感情は身体に現れます。日々の小さな“違和感”は、放っておかないことが大切です。

朝起きて鏡を見ると、ふと「表情が固いな」と感じたら、自分の感情を見直すタイミングかもしれません。
「まだ大丈夫」と無視する前に、自分の心を見つめてあげてください。


壊れそうな心に効く7つの言葉

(※このセクションでは各「言葉」をH3とし、解説をH4で構成)


「逃げてもいいんですよ」

逃げることは、自分を守る選択肢

「介護から逃げたい」なんて、口に出しにくい言葉ですよね。
けれど、その気持ちが湧くのは、すでに心が限界に達している証です。

逃げる=放棄ではありません。立ち止まることで再スタートが切れるなら、それは“必要な手段”です。

ショートステイや外部サービスの利用、週末だけ実家を離れるなど、できる範囲の“逃げ場”を準備しておくことが、心を守るためには欠かせません。


「あなたの限界は、あなたが決めていい」

他人の基準に合わせなくていい

誰かに「まだ大丈夫」と言われても、それが自分に当てはまるとは限りません。
限界は、自分の心と体が知っています。

介護者の中には、「周りはもっと頑張ってるのに…」と比較してしまう方も多いですが、それはあくまで“他人の道”。
あなたには、あなたのペースがあります。

自分で「ここまでが限界」と決めてよいのです。

「助けを求めるのも、強さのうち」

頼る力は、折れない力につながる

「誰にも頼らずやりきりたい」——そう願う介護者は少なくありません。
でも、本当に折れない人は、“自分を守る選択”ができる人です。

病棟で見てきた中にも、ひとこと「もう無理です」と伝えたことで、支援の輪が一気に広がったケースがありました。
その一歩が、現実を変えるきっかけになるのです。

助けを求める行為は、決して“弱音”ではありません。
あなたが支援を受ける権利を持つ一人であることを、どうか忘れないでください。


「あなたのことも、大事にして」

自分の心をすり減らさない介護のかたち

「親のために、自分のことは後回しで当然」——その思いが強すぎると、知らず知らず自己犠牲が常態化してしまいます。

けれど、自分を犠牲にする介護は、長続きしません。
やがて心がすり減り、相手との関係にも影響を及ぼします。

だからこそ、“自分も同じくらい大切にする”という視点が必要です。
1日10分、好きなことをする。夜、5分だけでも静かにお茶を飲む。
それだけで、介護と自分との境界が、ほんの少し整います。

あなたの「元気」は、介護を続けるための“土台”です。


「それでも、あなたは大切にしている」

壊れそうなほど、誰かを想っている証

「もう嫌だ」「逃げたい」と感じる自分を、責めていませんか?
でも、その気持ちが湧くのは、本気で向き合っているからこそです。

表面的な優しさだけでは、そんな苦しみは生まれません。
あなたは、心の深いところで誰かを大切に思っているからこそ、今も葛藤しているのです。

その矛盾を抱えるあなたに必要なのは、「もう十分頑張ってきたね」という肯定のひと言です。
苦しんでいるのは、冷たいからではなく、温かいから。
その事実を、どうか忘れないでください。


明日を少しだけ、軽くするために

介護の“抜け道”を確保する

一人で抱え込まないことが、続けるコツ

「このくらい自分でできるはず」「他人に任せるのは気が引ける」
そんな気持ちが、あなたを一人にしてしまっていませんか?

実際には、介護保険サービスや地域支援は“使う前提”で設計されています。
ショートステイやデイサービス、一時的な外泊も、あなたの心を守る大切な選択肢です。

罪悪感はつきものですが、介護には**“戦略的な休息”**も必要です。
あなたが倒れてしまっては、元も子もありません。

「今日だけお願いする」「週1回は抜ける」——
その工夫が、介護を長く続けるカギになります。


壊れない習慣を1つだけ持つ

小さな工夫が、大きな違いを生む

「劇的な変化は難しい」
それなら、まずは5分の習慣を持ってみませんか?

たとえば、
・寝る前に“今日できたこと”を3つ書く
・深呼吸を3回してから行動する
・1日1回、自分に「ありがとう」と言ってみる

これらはすぐにできて、自分の気持ちを受け止めるトレーニングにもなります。

看護の現場では、こうした“マイクロ習慣”を取り入れてから表情がやわらいだ方が数多くいます。

壊れそうな気持ちは、毎日の「少しずつ」で支えられます。
その習慣が、明日をほんの少し軽くしてくれるかもしれません。


まとめ:壊れそうなあなたへ贈る7つの言葉

介護に疲れたとき、限界を感じたとき、
「私だけかも」と思ってしまうことがあります。

でも、そう思えるあなたは、まだ“自分の声”を聞けている証拠です。
本当に大切なのは、その声を無視しないこと

この記事でお届けした7つの言葉は、すべて
「壊れないための、小さな選択肢」でもあります。


✅ チェックリスト

  • 「逃げたい」と思っても、自分を責めていませんか?
  • 自分の限界を、誰かの基準で決めていませんか?
  • 「助けて」と言える場所を、持っていますか?
  • 自分のことも、他人と同じように大事にしていますか?
  • 自分の本音を言葉にできていますか?
  • 介護から離れる“逃げ道”を確保できていますか?
  • 明日を少しだけ軽くする習慣、何か始められそうですか?

📢 あなたの声を、誰かの背中に

もし、この記事が「今の私に必要だった」と感じてくださったなら——
ぜひSNSでのシェアやコメントをお寄せください。

あなたの気持ちが、
きっとどこかで「壊れそうになっている誰か」の支えになります。

本気泣きする女性

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