迷ったら確認。経管栄養トラブル6つの対応軸

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「これ、様子を見ていいのか、すぐ病院に連絡するべきか…」

お父さんに胃ろうから栄養を注入していたアキラさんは、
小さな咳き込みに気づいて戸惑いました。

もしあなたも、
「これって異常?」「このまま様子を見ていい?」
と迷った経験があるなら、この記事は必ず役立ちます。

回復期リハビリ病棟の看護師として、
私が現場で見てきた経管栄養トラブル対応の6つの判断軸を、
わかりやすくお伝えします。


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経管栄養トラブルを見極めるには

異常のサインを知ろう

軽い咳やわずかな漏れでも、見逃してはいけないことがあります。
経管栄養中の観察ポイントを整理しておきましょう。

軽度で様子を見られるサイン

  • 軽い咳(呼吸苦がない)
  • チューブ周囲の少量の漏れ

すぐ行動が必要なサイン

  • 息苦しそうな呼吸
  • 吐き気が続く
  • 38℃以上の発熱

小さな変化でも、記録しておくと冷静な判断に役立ちます。

呼吸や消化器症状に注目

注入中は、呼吸やお腹の変化にも目を配りましょう。

呼吸の異常

  • 咳き込みが止まらない
  • 息が浅く苦しそう

消化器の異常

  • 吐き気、下痢、腹部の強い張り

違和感が続く場合は、
すぐに医療機関へ相談するのがおすすめです。

「様子を見る」のリスク

軽い症状だからといって様子見を続けると、
症状が悪化してしまうことがあります。

小さな違和感の時点で相談すれば、
結果的に本人も家族も、負担を軽くできることが多いのです。


病院に連絡すべきか判断する6つの軸

呼吸と意識を最優先でチェック

呼吸困難や意識障害は、緊急対応が必要です。

具体例:

  • 顔色が青白い、息が苦しそう
  • 意識がぼんやりして反応が鈍い

このような時は、ためらわず救急車を呼びましょう。

高熱や脱水、急な腹部症状に注意

体調の急変にも早めの対応が大切です。

チェックポイント:

  • 38℃以上の発熱と脱水傾向
  • 胸の痛み、極端なお腹の張り

症状が強い場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。

チューブトラブルを見逃さない

チューブの異常も、早めの対応が肝心です。

要注意サイン:

  • チューブが外れた、折れた、詰まった
  • 挿入部が赤く腫れている、膿が出ている

異常かどうか迷ったら、
挿入部の写真を撮って相談すると安心です。

少しでも迷ったら早めに相談

「これくらいで相談するのは大げさかな」と思うかもしれません。

でも、
迷った時点で相談するほうが、医療者も助かります。

  • 小さな異変が繰り返される
  • 「なんとなく不安」が続く

そんなときは、迷わず電話をしましょう。

相談前に情報を整理しよう

焦らず状況を伝えるため、準備しておきたいこと。

まとめるポイント:

  • 異変に気づいた時間、症状、行った対応
  • 体温や呼吸の様子も記録できるとベスト

あらかじめメモ帳を置いておくと安心です。


トラブルに備えるためにできること

緊急時カードを作ろう

連絡先をまとめたカードを、目につく場所に貼っておきましょう。

記載例:

  • 主治医・訪問看護師・救急病院
  • 症状ごとに「どこへ連絡すべきか」を整理

月に1回、見直すとさらに安心です。

自宅ケアの「できる範囲」を把握する

自分が自宅でできる対応と、
医療機関に任せるべきラインをはっきりさせましょう。

目安:

  • 軽い咳、少量の漏れ → 自宅管理
  • 呼吸困難、大量嘔吐、チューブ脱落 → 医療機関へ相談

事前に担当者と共有しておくと慌てずに済みます。

「迷ったら相談」を習慣に

迷ったときは、ためらわずに相談してOKです。

確認すること=リスク管理。
これを当たり前にしていきましょう。


まとめ

経管栄養のケアは、正しい知識があっても、
いざという時に迷ったり、不安になったりするものです。

ここでは、現場でよく聞かれる「こんなとき、どうすればいい?」に
お答えする**よくある質問集(FAQ)**をまとめました。

「これって病院に連絡するべき?」「注入を止めた方がいい?」
そんな迷いを感じたときに、ぜひ参考にしてください。

このページをブックマークしておけば、いつでも確認できます。
いざという時の安心のために、ぜひ保存しておいてください。

不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。

経管栄養中にむせたとき、すぐ病院に連絡したほうがいいですか?

軽く咳き込むだけで落ち着く場合は、少し様子を見ても大丈夫です。
ただし、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、発熱を伴う場合は、すぐに医療機関へ相談しましょう。
迷ったときは、「今の状況を簡単にまとめてから」連絡するとスムーズです。

注入中に吐いてしまったら、どうすればいいですか?

まずは注入を中断し、体を横向き(側臥位)にして安全を確保しましょう。
その後、吐物の色や量を確認して、医師や訪問看護師に連絡するのがおすすめです。
無理に再開せず、指示を仰いでください。

経管栄養中に下痢が続いています。注入をやめたほうがいいですか?

急に自己判断で止めるのは控えましょう。
下痢の原因には、栄養剤の種類、注入スピード、感染症などさまざまな要素が考えられます。
医師に相談し、適切な対処(例えば、栄養剤の変更や点滴への切り替えなど)を受けることが安心です。

チューブが詰まったら、無理に押して流してもいいですか?

無理に押し込むと、チューブが破損したり、体内に負担をかけたりする恐れがあります。
まずはぬるま湯を少量ずつ注入してみてください。
それでも流れない場合は、すぐ医療機関に相談を。チューブ交換が必要な場合もあります。

どんなときに救急車を呼ぶべきですか?

以下の症状があれば、迷わず救急要請してください。

  • 呼吸が苦しく、顔色が悪い
  • 意識がもうろうとしている
  • 嘔吐を繰り返し、脱水症状が疑われる
  • チューブが抜け、腹部から大量出血がある

「これは危ないかも」と感じたときは、遠慮せず行動に移しましょう。

経管栄養トラブルにどう対応するか。
迷ったときに支えになる6つの軸を、ぜひ覚えておいてください。

✅ 呼吸と意識を最優先で確認する
✅ 体調急変には迅速に対応する
✅ チューブの異常を早期に発見する
✅ 少しでも迷ったら相談する
✅ 情報を整理して連絡する
✅ 自分の「できる範囲」を知っておく

一つでも思い出せたら、それが大きな力になります。

迷ったときこそ、立ち止まって確認を。
そして、あなた自身も守ってください。


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あなたの行動が、誰かの安心につながります。

#胃ろうケア #在宅介護 #経管栄養トラブル対応

栄養

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