「これ、様子を見ていいのか、すぐ病院に連絡するべきか…」
お父さんに胃ろうから栄養を注入していたアキラさんは、
小さな咳き込みに気づいて戸惑いました。
もしあなたも、
「これって異常?」「このまま様子を見ていい?」
と迷った経験があるなら、この記事は必ず役立ちます。
回復期リハビリ病棟の看護師として、
私が現場で見てきた経管栄養トラブル対応の6つの判断軸を、
わかりやすくお伝えします。
経管栄養トラブルを見極めるには
異常のサインを知ろう
軽い咳やわずかな漏れでも、見逃してはいけないことがあります。
経管栄養中の観察ポイントを整理しておきましょう。
軽度で様子を見られるサイン
- 軽い咳(呼吸苦がない)
- チューブ周囲の少量の漏れ
すぐ行動が必要なサイン
- 息苦しそうな呼吸
- 吐き気が続く
- 38℃以上の発熱
小さな変化でも、記録しておくと冷静な判断に役立ちます。
呼吸や消化器症状に注目
注入中は、呼吸やお腹の変化にも目を配りましょう。
呼吸の異常
- 咳き込みが止まらない
- 息が浅く苦しそう
消化器の異常
- 吐き気、下痢、腹部の強い張り
違和感が続く場合は、
すぐに医療機関へ相談するのがおすすめです。
「様子を見る」のリスク
軽い症状だからといって様子見を続けると、
症状が悪化してしまうことがあります。
小さな違和感の時点で相談すれば、
結果的に本人も家族も、負担を軽くできることが多いのです。
病院に連絡すべきか判断する6つの軸
呼吸と意識を最優先でチェック
呼吸困難や意識障害は、緊急対応が必要です。
具体例:
- 顔色が青白い、息が苦しそう
- 意識がぼんやりして反応が鈍い
このような時は、ためらわず救急車を呼びましょう。
高熱や脱水、急な腹部症状に注意
体調の急変にも早めの対応が大切です。
チェックポイント:
- 38℃以上の発熱と脱水傾向
- 胸の痛み、極端なお腹の張り
症状が強い場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。
チューブトラブルを見逃さない
チューブの異常も、早めの対応が肝心です。
要注意サイン:
- チューブが外れた、折れた、詰まった
- 挿入部が赤く腫れている、膿が出ている
異常かどうか迷ったら、
挿入部の写真を撮って相談すると安心です。
少しでも迷ったら早めに相談
「これくらいで相談するのは大げさかな」と思うかもしれません。
でも、
迷った時点で相談するほうが、医療者も助かります。
- 小さな異変が繰り返される
- 「なんとなく不安」が続く
そんなときは、迷わず電話をしましょう。
相談前に情報を整理しよう
焦らず状況を伝えるため、準備しておきたいこと。
まとめるポイント:
- 異変に気づいた時間、症状、行った対応
- 体温や呼吸の様子も記録できるとベスト
あらかじめメモ帳を置いておくと安心です。
トラブルに備えるためにできること
緊急時カードを作ろう
連絡先をまとめたカードを、目につく場所に貼っておきましょう。
記載例:
- 主治医・訪問看護師・救急病院
- 症状ごとに「どこへ連絡すべきか」を整理
月に1回、見直すとさらに安心です。
自宅ケアの「できる範囲」を把握する
自分が自宅でできる対応と、
医療機関に任せるべきラインをはっきりさせましょう。
目安:
- 軽い咳、少量の漏れ → 自宅管理
- 呼吸困難、大量嘔吐、チューブ脱落 → 医療機関へ相談
事前に担当者と共有しておくと慌てずに済みます。
「迷ったら相談」を習慣に
迷ったときは、ためらわずに相談してOKです。
確認すること=リスク管理。
これを当たり前にしていきましょう。
まとめ
経管栄養のケアは、正しい知識があっても、
いざという時に迷ったり、不安になったりするものです。
ここでは、現場でよく聞かれる「こんなとき、どうすればいい?」に
お答えする**よくある質問集(FAQ)**をまとめました。
「これって病院に連絡するべき?」「注入を止めた方がいい?」
そんな迷いを感じたときに、ぜひ参考にしてください。
このページをブックマークしておけば、いつでも確認できます。
いざという時の安心のために、ぜひ保存しておいてください。
不安になったら、一人で抱え込まず、この記事を開いて確認しましょう。
- 経管栄養中にむせたとき、すぐ病院に連絡したほうがいいですか?
-
軽く咳き込むだけで落ち着く場合は、少し様子を見ても大丈夫です。
ただし、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、発熱を伴う場合は、すぐに医療機関へ相談しましょう。
迷ったときは、「今の状況を簡単にまとめてから」連絡するとスムーズです。 - 注入中に吐いてしまったら、どうすればいいですか?
-
まずは注入を中断し、体を横向き(側臥位)にして安全を確保しましょう。
その後、吐物の色や量を確認して、医師や訪問看護師に連絡するのがおすすめです。
無理に再開せず、指示を仰いでください。 - 経管栄養中に下痢が続いています。注入をやめたほうがいいですか?
-
急に自己判断で止めるのは控えましょう。
下痢の原因には、栄養剤の種類、注入スピード、感染症などさまざまな要素が考えられます。
医師に相談し、適切な対処(例えば、栄養剤の変更や点滴への切り替えなど)を受けることが安心です。 - チューブが詰まったら、無理に押して流してもいいですか?
-
無理に押し込むと、チューブが破損したり、体内に負担をかけたりする恐れがあります。
まずはぬるま湯を少量ずつ注入してみてください。
それでも流れない場合は、すぐ医療機関に相談を。チューブ交換が必要な場合もあります。 - どんなときに救急車を呼ぶべきですか?
-
以下の症状があれば、迷わず救急要請してください。
- 呼吸が苦しく、顔色が悪い
- 意識がもうろうとしている
- 嘔吐を繰り返し、脱水症状が疑われる
- チューブが抜け、腹部から大量出血がある
「これは危ないかも」と感じたときは、遠慮せず行動に移しましょう。
経管栄養トラブルにどう対応するか。
迷ったときに支えになる6つの軸を、ぜひ覚えておいてください。
✅ 呼吸と意識を最優先で確認する
✅ 体調急変には迅速に対応する
✅ チューブの異常を早期に発見する
✅ 少しでも迷ったら相談する
✅ 情報を整理して連絡する
✅ 自分の「できる範囲」を知っておく
一つでも思い出せたら、それが大きな力になります。
迷ったときこそ、立ち止まって確認を。
そして、あなた自身も守ってください。
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あなたの行動が、誰かの安心につながります。
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