食欲ない高齢者に効いた!管理栄養士と考えた工夫7選

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。
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食卓で箸が止まる母を見て

母が「ごはん、あとで食べるね」と言い出すことが増えたのは、ちょうど季節の変わり目でした。以前なら食べきっていた量も、今では途中で手が止まり、スープだけ残して席を立つ…。
私は回復期病棟の看護師として、高齢者の食事量や食欲の変化には敏感なはずなのに、家ではただ不安ばかりが募っていました。

この記事では、そんな経験を踏まえ、管理栄養士の方と一緒に考えた「高齢者の食欲を引き出す工夫」を7つご紹介します。
「なぜ食べないのか?」「どうしたら食べてくれるのか?」と悩む方に、無理なく取り入れられるヒントをお届けできたらと思います。


食欲低下のサインを見逃さない

食事時間の変化に気づく

食事の量だけでなく、「食べるペース」が変わってきたら要注意です。箸を持ったまま止まっていたり、噛むのに時間がかかるようになったりする変化には、早めに気づいておくと安心です。

高齢者は加齢により咀嚼力・嚥下機能が低下し、それが「食欲がない」ように見える原因になることもあります(出典:厚生労働省「健康日本21」)。そのため、「残していないから大丈夫」と安心するのではなく、“食べ方”の変化を観察する視点が大切です。


体重・筋力の変化を見逃さない

最近ズボンが緩くなった、階段の上り下りがつらそうになった――そんな変化も、栄養不足や筋肉量の低下を示すサインです。
日本老年医学会によれば、1年間に体重の5%以上が減少すると「フレイル(虚弱)」のリスクが高まるとされています。

ご家族が気づきにくい身体の変化こそ、定期的な体重チェックや写真による見た目の確認などで、早めに対処できると理想的です。


食べたくなる工夫を取り入れる

見た目と香りを意識して

「食べたい」と思える食事には、味だけでなく見た目と香りも重要です。母が「これ美味しそうね」と自ら箸を伸ばしたのは、色鮮やかな副菜を並べた日でした。

高齢になると、視覚や嗅覚の衰えによって、食事の魅力が伝わりにくくなります。そのため、色のコントラストや湯気の立つ温かさが、食欲を刺激する要素になります。

盛り付けの工夫や香りのアクセントは、家庭でもすぐにできるポイントです。


噛みやすさと食器の選び方

食べやすさは、見た目以上に大切です。食材を一口サイズに切る、柔らかめに調理する、とろみを加えるなどの工夫で、咀嚼や嚥下の負担を軽減できます。

また、軽くて持ちやすい器や、すべりにくいカトラリーを使うだけで、手の不自由さによる食事のストレスが軽減されます。
こうした環境の工夫も、食事への意欲を引き出す一因となります。


少量で高カロリーな食品を選ぶ

「たくさん食べられないけど、栄養は摂ってほしい」
そんな時は、少量で栄養価の高い食材や補助食品が効果的です。

市販されている栄養補助食品(ONS:Oral Nutritional Supplements)や、チーズ、きなこ、オイルなどを食事にプラスすることで、無理なくカロリーやたんぱく質を補えます(参考:日本静脈経腸栄養学会)。

味付けや食感を工夫しながら、家庭の食事に自然に取り入れることが可能です。


続けるために専門家と連携する

栄養相談で選択肢を広げる

「何を食べさせればいいかわからない」――そんな時は、地域の栄養士や保健師に相談するのが効果的です。私も、地域包括支援センターで相談したことで、食事内容や補助食品の選び方に自信が持てるようになりました。

栄養相談では、家での調理が難しい時の代替案や、必要に応じて医師との連携も視野に入れてくれます。
食事に対する“選択肢”が広がると、介護者の精神的な負担も軽減されます。


地域サービスを上手に使う

介護する家族にとっても、毎食の準備は大きな負担です。そこで頼りになるのが、高齢者向け配食サービスやデイサービスでの昼食提供です。

現在は、栄養バランスに配慮された冷凍弁当や、栄養士が監修した宅配食が豊富にあります。
「自分で用意しなくていい日がある」だけでも、家族の心に余裕が生まれます。

こうしたサービスは、介護保険外でも利用できるものが多く、地域によっては行政のサポートもあるため、まずは調べてみることをおすすめします。


まとめ|「ちょっとした工夫」が変化を生む

高齢者の「食欲がない」にはさまざまな理由があります。
しかし、その背景を理解し、無理なく続けられる工夫を積み重ねることで、日々の食卓に小さな変化を起こすことができます。


✅チェックリスト:食欲を引き出す7つの視点

  1. 食事時間の変化に目を向ける
  2. 体重・筋力の減少に注意する
  3. 見た目と香りを意識した献立を作る
  4. 食べやすいサイズと食器を使う
  5. 少量でも栄養価が高い食品を活用する
  6. 栄養相談で情報や支援を得る
  7. 地域の配食・サービスを無理なく活用する

介護の食事づくりは、決して一人で背負わなくていいものです。
あなたの気づきや経験が、同じ悩みを抱える誰かの助けになるかもしれません。
この記事が参考になったら、SNSでシェアしたり、コメントであなたの工夫を教えてください。お待ちしています。

食欲ない

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