「薬が多い…」と気づいた日。見直しのヒント5選

著者について
  • 看護師7年目
  • 山間地域の退院支援に従事
  • 認知症サポーター研修受講済み
  • 祖母の介護を5年経験
汐です。

「薬が多い気がするんです」
あるご家族が、退院支援のカンファレンスでふとつぶやいた言葉。本人は黙っていたものの、手元には朝だけで5種類、昼にも夜にも異なる錠剤。私たち看護師が見ても、「ちょっと多いな」と感じる処方でした。

この記事では、高齢者の薬が増えやすい背景多剤服用によるリスク薬の見直しを検討する具体的なヒントをまとめています。
「なんとなく不安」「今のままでいいのかな」と感じたあなたに、今日から使える知識と視点をお届けします。


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高齢者の薬が増える背景

多剤服用とは?

高齢者における「多剤服用」は、5種類以上の薬を日常的に使用する状態を指します。厚生労働省の調査(2020年)によると、75歳以上では約7割が6種類以上の薬を処方されているという報告もあります。

なぜ薬が増えるのか?

加齢に伴って複数の疾患を抱えることが一般的になり、糖尿病・高血圧・骨粗鬆症など個別の治療が積み重なることで、処方薬も増加します。また、医療機関が複数にまたがっていると、それぞれの医師が個別に薬を処方し、重複や過剰につながるケースも見られます。


多剤服用のリスクとは?

転倒・認知機能への影響

睡眠薬や抗不安薬、血圧を下げる薬などの影響でふらつきが起こり、転倒や骨折リスクが高まります。また、一部の薬は認知機能にも影響を与えることが知られており、もの忘れや混乱が「薬のせい」だったという例も少なくありません。

消化器・循環器系の負担

複数の薬が肝臓や腎臓を通過することで、内臓への負担も大きくなります。特に、長期間にわたる解熱鎮痛薬や利尿剤の使用は胃腸障害や脱水を引き起こす要因となるため注意が必要です。


薬を見直すためのヒント

本人と家族の気づきが第一歩

「薬、多くない?」と感じたときは、主治医に相談するタイミングです。本人が訴えにくいときでも、家族が変化に気づいたことを伝えるだけでも大きなきっかけになります。

かかりつけ薬剤師を活用する

薬剤師は薬の専門家であり、処方内容の整理や説明に長けています。「薬局で渡されたけど、よく分からなかった」という不安も、薬剤師に質問すれば解消できます。複数の医療機関を受診している場合は、お薬手帳の一元管理も重要です。

処方の見直しは誰に?

主治医はもちろん、必要であれば「高齢者のポリファーマシー対策チーム」や「地域包括支援センター」と連携するのも有効です。薬の減量や変更には医学的な判断が必要なため、自己判断せず、信頼できる専門家に相談しましょう。

相談フローチャート


まとめ|薬の量に気づいたあなたへ

薬を見直すときに確認したいこと:

  • 薬の数が5種類以上あるか
  • 最近、転倒やふらつきが増えていないか
  • 食欲不振や眠気、便秘などが起きていないか
  • 薬の効果や目的が把握できているか
  • 本人が薬に対して不安を感じていないか

チェックリスト:

☑ お薬手帳を活用している
☑ 薬剤師に質問したことがある
☑ 医師に薬の目的を聞いたことがある
☑ 本人の体調変化をメモしている
☑ 複数の医療機関を受診している場合は情報を整理している

内服薬

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